東日本大震災の発生から8年を迎えた11日、東京都内近郊のキリスト者が教派を超えて震災の被災者を覚えて祈る「第96回東日本大震災復興支援超教派一致祈祷会」がウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)で行われ、約70人が被災地の復興のために祈りをささげた。
祈祷会では、「3・11いわて教会ネットワーク」のコーディネーターで保守バプテスト同盟・盛岡聖書バプテスト教会牧師の近藤愛哉(よしや)氏が、現地報告として講演した。近藤氏によると、震災から8年が経過したことで、岩手県内では新しい教会が各地で生み出されているとともに、ようやく教会が被災者の痛みを受け止める場として、地域の人々に受け入れられ始めてきたという。しかしその一方で、自死などの震災関連死が増加しているほか、地元住民に親しまれてきたキリスト教支援団体が相次いで撤退している現状も伝えた。
近藤氏は、年月がたつほど悲しみが増す被災者の心の痛みを語り、ヨハネによる福音書7章37、38節のイエスの言葉「渇いている人はだれでも、わたしのところに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その人の内から生きた水が川となって流れ出るようになる」を引用した。「イエス様のこの叫びを今も聞く思い。教会がこの言葉を叫び続けなければならないと思わされている」と話し、被災地にある教会のために祈りを求めた。
震災発生1カ月後から毎月11日に絶やすことなく祈祷会を開催してきた淀橋教会の峯野龍弘主管牧師は、「祈りは聞かれたと感謝するとともに、ここからこそしっかり祈らなければという強い責任をあらためて示された」と語り、被災者を覚えて今こそキリスト者が祈りに励む必要があると訴えた。
この日は、Kポップの第一線で活躍し、現在は日本に移住して東北の被災者支援のために慰問コンサートを行っているピアニストのゴン・ミンさんと、元劇団四季所属でテノール歌手のビョン・ホギルさんが音楽ゲストとして出演し、賛美歌や被災地で演奏する日本の曲を披露した。
次回の祈祷会は4月11日午後7時から、淀橋教会を会場に行われる。現地報告は仙台にある「地域支援ネットワーク架け橋」代表の中澤竜生牧師、音楽ゲストにはゴスペルシンガーの横山大輔さんを迎える。