英国国教会は、キャッシュレス決済の献金回収システムの試用で、献金額がほぼ倍増したことを受け、イングランドとウェールズにある約1万6千の教会と42の大聖堂で本格導入する。同システムを提供する英電子決済サービス会社「サムアップ」が明らかにした。
サムアップは、献金とその回収に伴う事務処理の簡素化を目指し、手元に現金がなくても献金できるキャッシュレス決済の献金回収システムを、幾つかの教会で試験運用してきた。
礼拝参加者は「アップルペイ」や「グーグルペイ」などの電子決済サービスを利用して献金が可能で、献金受け付け用の端末は持ち運びができ、1回の充電で約500件まで処理できるという。端末は卓上に固定した「卓上版」もあり、会衆は礼拝の前でも後でも手軽に献金することができる。
同システムを試用してきたイーストグリニッジ・クライスト教会(ロンドン)のマーガレット・ケイブ司祭は次のように話す。
「当教会では新型のデジタル献金回収ボックスを試用してきましたが、会衆の皆さんには大変好評でした。ここ数年、当教会の年齢構成は若い世代に移行しつつあります。サッカーチーム、子どもや青年向けのプログラム、母親の会など、さまざまな活動を通して家族や子ども、青年や若年成人の来会が増えてきたからです。
若者の大半は現金を持ち歩きません。ですから教会にとって、時代を先取りすることには大きな意味があります。当教会では最新技術を取り入れ、献金手段の刷新に取り組んできました」
サムアップの共同設立者であるマークアレキサンダー・クライスト氏は次のように話す。
「真のキャッシュレス社会への移行に伴い、2019年はキャッシュレス決済の大幅な拡大が見込まれます。それが意味するのは、日常生活の在り方への適応が求められるということです。デジタル式の献金回収プレートは、伝統と先端技術が見事に出会った実例です。
英国中の教会でキャッシュレス化が進んでいます。積極的な献金を促進するには、献金手段の簡素化が求められます。このような(先端技術との)協力関係が欠かせないものになると考える理由は、そこにあるのです」