英政府はこのほど、キリスト教徒に対する迫害の独立調査を、英国教会伝道協会(CMS)前会長のフィリップ・モーンスティーブン主教(トゥルーロ教区)に依頼した。調査により、世界規模で激増する暴力の対象となっているとされるキリスト教徒を支援する実際的なステップを見いだすことを目指す。
2017年は、世界で約2億1500万人のキリスト教徒が信仰のために迫害を受けたとされ、1月当たり平均で250人が殺害された。特に女性や子どもたちが狙われやすく、性暴力の対象となることが多いという。
英国のジェレミー・ハント外相は声明(昨年12月26日付)で、「キリスト教徒への迫害は多くの場合、あらゆる少数派への迫害の初期的兆候です」と指摘。「世界中で迫害されているキリスト教徒の窮状に対し、英政府がどのように対応すべきかを検討するよう、本日、トゥルーロ教区の主教に依頼しました。私たちには、より多くのことができますし、そうしなければなりません」と述べた。
声明によると、独立調査は、中東やアフリカ、アジアの主要国を対象に行われ、キリスト教への迫害状況を地図上にまとめ、英国による支援を分析した上で、包括的な政策を提言する。
1799年に設立されたCMSは、200年以上の歴史がある宣教団体で、これまで世界中に数多くの宣教師を派遣してきた。モーンスティーブン主教は昨年11月までCMSの会長を務めており、国際的な分野で幅広い経験を持つ。
モーンスティーブン主教は英政府からの依頼を受け、「この働きは極めて重要です。このような形で迫害下にある世界中のキリスト教徒に仕えることができて光栄です」と語った。
迫害の被害者として知られる人々の中には、冒とく罪で死刑判決を受けていたパキスタン人女性キリスト教徒のアーシア・ビビさんがいる。ビビさんをめぐっては、パキスタンに対する国際的な批判の高まりもあり、昨年10月に最高裁で逆転無罪が言い渡されたが、過激派による抗議活動などで今も命の危険にさらされている。しかし、英政府はビビさんの亡命申請を却下したとされている。