ウェストミンスター宮殿(英国会議事堂)やロンドンアイ(ロンドンにある大型観覧車)、その他の主要なランドマークが水曜日の23日夜、世界中で信仰の故に迫害されている数百万人の人々のために、「血の色」の照明をともした。
歴史を感じさせるウェストミンスター宮殿をはじめ、英国国教会のウェストミンスター寺院やカトリック教会のウェストミンスター大聖堂、聖ジョージ・コプト正教大聖堂の他、ロンドン中の多くの教会やモスク、シナゴーグ、ランドマークなどがこの日、赤く染められた。
この「赤い水曜日」キャンペーンは、カトリックの慈善団体「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード(困窮している教会への支援)」(ACN)によって組織されたもので、キリスト教の指導者だけではなく、イスラム教やユダヤ教の指導者らも賛同し、世界中で宗教的自由が奪われていることを訴えた。
米国務省の今年の報告によると、世界人口の76パーセントが、高水準もしくは超高水準で宗教的自由の制限を受けている。
キャンペーンが行われたこの日には、ロンドン名物の2階建てバス「ダブルデッカー」が、北ロンドンにあるイマム・コエイ・イスラム・センターやリベラル・ジューイッシュ・シナゴーグ(LJS)、セントポール大聖堂を巡り、終点の国会議事堂広場に向かうというコースも設けられた。
赤いライトで染まったウェストミンスター寺院の西側では、シリア正教会の最高指導者であるアンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世が、この光景を見て「殉教が今も起きており、今後も続くことを想起させられた」と述べた。
「キリスト教徒や他宗教の信者が世界中で迫害されていますが、政治家や政府はほとんど関心を示していません」と、総主教は英国クリスチャントゥデイに語った。
総主教は、「宗教の名において他宗教の信者に暴力を振るっている人たちが正義による裁きを受け、暴力が繰り返されないよう歯止めを掛けることが重要です」と述べた。
カトリック信者であり、リバプール選出の英上院議員であるデイビッド・アルトン卿は、ウェストミンスター宮殿を赤く照らすキャンペーンを支援した。アルトン卿はこの日、キャンペーンの終わりに際し、支援は「格別なもの」だったと述べた。
アルトン卿は英国クリスチャントゥデイに、「信仰の故に、数百万の人々が苦しんでいます。世界人権宣言の宗教の自由に関する第18条は、日々破られています」と語った。
「強制収容所に入れられている北朝鮮のキリスト教徒についても、パキスタンのアハマディア派イスラム教徒や、イランのバハーイー教徒も、ミャンマーのロヒンギャのイスラム教徒、あるいはサウジアラビアの無神論者についても、皆破られています。人々は残虐で恐ろしいやり方によって迫害されています」
LJSを出たところでは、ACNの広報担当者であるジョン・ポンティフェックス氏が、キリスト教徒やイスラム教徒、ユダヤ教徒それぞれが団結することが重要だと英国クリスチャントゥデイに語った。
「団結したからといって、私たちがアイデンティティーを失うことはありません。実際は、アイデンティティーを構築することになるのです。なぜなら、互いに多くのことを学び合うことができ、互いにアイデンティティーを共有することになるからです」「これはある意味で、それぞれがルーツに立ち返ることを意味します」と、ポンティフェックス氏は述べた。
また、この日の意味は「暴力はもうたくさんだ」と宣言することにあると説明し、「宗教の名によってこれ以上暴力が行われてはなりません。協力してこの暴力を食い止める必要があります」とポンティフェックス氏。「赤い水曜日に込められた思いは、血を流してまでも信仰のために犠牲を払った全ての人々に光を当てることにあるのです」と述べた。