米連邦捜査局(FBI)はこのほど、2月に99歳で亡くなった世界的伝道者ビリー・グラハム氏に関する秘密資料(英語)を公開した。資料は全部で約500ページに及び、グラハム氏に対し、再三にわたり脅迫めいた手紙が送りつけられていたことが分かった。中にはグラハム氏を「偽説教者」呼ばわりするものもあった。
公開された資料によると、グラハム氏は命を脅かす手紙を複数回受け取っていた。同様の手紙は、当時のジェラルド・フォード大統領やリチャード・ニクソン大統領のほか、米中央情報局(CIA)やその他の政府機関の職員にも送られていた。
1975年3月4日付の手書きの手紙には、次のように書かれている。
「われわれはこの手紙を、あの偽説教者ビリー・グラハム宛てに送っている。やつはCIAと同じくらい邪悪だ」
「われわれは、高い地位にある者どものそのような邪悪さにうんざりしている。CIAの野郎どもを皆殺しにする時が来た。年老いたインチキグラハムは、CIAについて聖書から説教しない。なぜなら、やつは自分の聖書をよく知らないからだ」
米ノースカロライナ州シャーロットに拠点を置く地方テレビ局WSOC(英語)によると、この手紙は、アイオワ州の精神疾患のある女性が送ったものだった。
氏名未公開のこの女性は、精神疾患があることや、脅迫の実行力に欠けていること、また手紙は政府全般に憤る一般市民の苦情と見ることができるとし、不起訴処分となった。
女性はFBIによる取り調べ中、「時には突然涙を流し、時には長々と聖書を大声で読み、次の瞬間には突然笑い出し、そうかと思うと楽しそうに話を続けた」という。
グラハム氏が受け取った別の手紙には、「FBIを皆殺しにする」「ビリー・グラハムを殺す」など、殺害を予告するものもあった。
精神疾患のある人物が書いた可能性が疑われる別の手紙もあり、そこには次のように書かれていた。
「世界の指導者たちは精神病だ」「やつらこそ滅ぼされなければならない」「世界の指導者たちを殺す時が来た。お偉いさんたちの犯罪のせいだ」