米南部バプテスト連盟(SBC)の出版部門である「ライフウェイ・クリスチャン・リソーシーズ」のトム・レイナー会長兼最高経営責任者(CEO)が最近、牧師は道徳的な過ちに陥ることを避けるため、「ビリー・グラハム・ルール」を守るべきだと語った。
このルールは、世界的な伝道者であった故ビリー・グラハム氏の名前から付けられたもので、男性のキリスト教指導者が、婚姻関係のない女性と2人だけでいることを避けるというもの。グラハム氏は実際に、妻以外の女性と2人だけでいることを避けていたとされている。マイク・ペンス米副大統領も、妻以外の女性と2人だけで食事をすることは避け、行事には妻同伴で出席するようにしていると話しており、最近では「マイク・ペンス・ルール」という呼称もあるという。
ビリー・グラハム・ルールは古臭く律法主義的だと冷笑する人もいるが、このルールが「実に賢明」なものであることは、最近のセクハラや性的暴力を告発する「#MeToo(私も)」運動が示していると、レイナー氏は語る。
牧師が異性と2人だけでいることの危険性を理解しない場合、それが実際の問題に至らなかったとしても、牧師生命と自教会を危険にさらすことになると、レイナー氏は警鐘を鳴らす。「あなたが(異性と)2人だけでいるという事実を除けば、一片の問題もないかもしれません。でも、誰かがそれを見て誤解した場合、どうなるでしょうか」とレイナー氏は問う。
「単に悪いことだけではなく、悪いことに見られてしまう事柄すべてを避けるよう聖書は教えています。つまり、誘惑を受けたり、疑いを招いたりする恐れのあるいかなる状況にも身を置くべきではありません。他の人がそのように誤解するかもしれない状況そのものを避けるべきなのです」
レイナー氏は、ある男性から寄せられた質問を事例に挙げた。女性の同僚を車に乗せて、空港まで10分ほど送ってあげても問題はないのではないかというものだ。しかしレイナー氏に言わせると、これは妥協し過ぎの事例だという。クリスチャンはいかなる犠牲を払ってでも、婚姻関係にない異性と2人だけで乗り物に乗ることを避けるべきだとレイナー氏は言う。
「例外を一つ許せば、次の例外に道を開くことになります。ちょっと律法主義的で威圧的に聞こえるかもしれませんが、私はダメだと答えました。私はそのような鉄壁のルールを守っているのです」
ビリー・グラハム・ルールを守っていたら避けることのできた、牧師やキリスト教団体指導者の過ちの事例が数多くあるとレイナー氏は話す。
ライフウェイ・クリスチャン・リソーシーズでは、事務所のドアに窓を取り付けることで、可視性と説明責任を向上させたという。
自分は道徳的な過ちに決して陥ることはないと考えることは、キリスト教指導者にとって最も危険なことだと、レイナー氏は指摘する。その上で「愚かにならないようにしましょう。慎重過ぎて一線を超えているかもしれないと心配するのはやめましょう。賢く振る舞おうではありませんか」と励ます。
「私たちは、このようなことに前向きであるべき時代に生きています。こうすることは良いことなのです。そんなことが自分に起こるはずがないと思ってはいけません。そういう人ほど後悔することになるのです」