古代イスラエルの第一神殿時代に使われ、旧約聖書にも記述される小さな石の重りがエルサレムで発見された。重りは「ベカ」と呼ばれるもので、考古学者にとって希少な発見となった。重りは、ボランティアがエルサレム旧市街の西側の壁付近で発掘作業をしていた際に見つけたという。
イスラエル考古学庁に協力している考古学者のエリ・シュクロン氏は声明を発表し、今回発見されたベカの特徴として、文字が左から右に向かって刻まれていることを挙げた。ヘブライ語は通常、右から左に向かって書かれている。
「印章を作っていた職人は鏡文字(左右を反転させた文字)を書くことに慣れていたため、(ベカに)文字を刻む際に混乱し、誤って(左から右に)刻んでしまったことは明らかです」とシュクロン氏は、タイムズ・オブ・イスラエル紙(英語)に語った。
「このミスのおかげで、(当時の)一般的な習慣を知ることができます。つまり、第一神殿時代に重りに文字を刻んでいた職人は、印章を作っていた職人と同じ職人だったのです」
ベカは旧約聖書に登場し、一例として次の箇所がある。
「この額は二十歳以上の登録された者の総数、六十万三千五百五十人が一人当たり一ベカ、すなわち聖所のシェケルで半シェケルをささげたものに当たる」(出エジプト38:26)
一方、イスラエル考古学庁とイスラエル博物館は10月、出土した1世紀の石板に、現代ヘブライ語と同じつづりで「エルサレム」という文字が刻まれていたと発表した。同庁のユバル・バルーク氏と、ハイファ大学のロニー・ライヒ教授は声明(英語)で、この発見の聖書的意義について次のように説明している。
「第一・第二神殿時代の碑文に『エルサレム』という記述が見られるのは、実にまれなことです。しかしさらに珍しいのは、現代と同じつづりで書かれた(エルサレムという)都市名が完全なつづりで見つかったことです。通常、この都市名は省略形で書かれているからです。第二神殿時代の碑文で、完全なつづりで刻まれているのはこれだけです。
他の事例でこのつづりが知られているのは一つだけで、ユダヤ戦争(ローマに対する大反乱、紀元66~73年)時の硬貨に見られるもののみです。その珍しいつづりも聖書で裏付けられています。『エルサレム』は聖書の中に660回登場しますが、完全なつづりで書かれているのは5カ所だけです(エレミヤ26:18、エステル2:6、歴代誌下25:1〜2、歴代誌下32:9)」