キリスト教主義のNGO「ワールド・ビジョン・ジャパン」(WVJ、東京都中野区)は13日、内戦のため南スーダンから避難してきた人々が暮らすウガンダ北西部のビディビディ難民居住地で、子どもたちの教育支援を開始すると発表した。同居住地は、南スーダン難民28万人が暮らすアフリカ最大の難民キャンプ。難民の約7割が子どもだが、避難生活の厳しさから育児を放棄したり、子どもに対する搾取、虐待を行うケースが増えているという。
この難民支援事業では、就学前教育や、学校へ通えなかった子どもたちを対象に3年間で初等教育を修了できる短期集中型の学習プログラムなどを提供する。また、子どもたちが安心して学んだり、遊んだりするための施設「チャイルド・フレンドリー・スペース」を設置。育児放棄や搾取、虐待から子どもたちを守る取り組みのほか、さまざまな民族が暮らす居住地内の多民族理解や平和的共存を促す「ピースクラブ活動」などを行う。
資金はWVJに寄せられた募金と、NGO、経済界、日本政府が共同で設立した「ジャパン・プラットフォーム」(JPF)の助成金でまかなう。
WVJの事業担当スタッフによると、ウガンダは世界で最も難民の受け入れに寛容な国の1つ。しかし「いかに寛容な国であっても、生活環境がまったく異なる土地で、紛争から逃れてきた人々が生活をすることは簡単ではありません」と話す。
南スーダンは、2011年にスーダン南部の10州が分離独立してできた世界で最も新しい国。スーダンではそれまで、第1次スーダン内戦(1955〜72年)、第2次スーダン内戦(83〜2005年)と、半世紀にわたる長い紛争が続いてきた。しかし独立後も13年に南スーダンの首都ジュバで、政府軍と反政府軍による戦闘が勃発し、内戦が再発した。
WVJによると、国内避難民は200万人、国外へ逃れた難民は180万人に上る。ウガンダに逃れてきた難民は、16年5月までは22万人だったが、16年7月の衝突で再び紛争が南スーダン全土に拡大したことなどから、この1年余りで100万人に増加したという。
WVJは、独立前の2002年から南スーダン南西部の西エクアトリア州タンブラ郡(現タンブラ州)で教育支援事業を行っている。また、JPFの助成を受け、水や衛生品などの緊急支援物資の配布などを行ってきた。ウガンダと同じく南スーダンの難民が逃れてくるエチオピアでも、難民支援事業を行っており、昨年10月にはジョウィ難民居住地に新しい学校を開設するなどしている。