クリスチャン新聞の根田祥一編集顧問が、本紙を批判する日本基督教団の議長声明に関与した疑いを報じてすぐ、同教団の統一原理問題全国連絡会(以下、連絡会)に関わる齋藤篤牧師(同教団深沢教会)は、フェイスブック上で「根田祥一氏が、これまでの取材や調査で得た情報や資料を提供してくださったのは事実」と認めた。事実であれば、根田氏の関与を連絡会自らが公に認め、事態が表面化したことになる。
一方、齋藤牧師は「背後で主導されたことは一度もありません」と主張。根田氏が情報提供したこと自体には問題がないとする認識を示した。しかし、ある弁護士の話によると、根田氏が本紙と競合関係にある新聞社の幹部である以上、連絡会が利害当事者の根田氏から情報提供を受けることは、「利益相反行為(Conflict of Interest)」となる可能性があるという。そのため、議長声明が根田氏の情報を基にして出されたのであれば、それは法理的に見て、声明が客観的、論理的な根拠を失ったことになる。
記事を受けての反応には、「新聞社の編集顧問なのに、なぜ情報を持ちながら自分の新聞で報じないのか」「報道によって事実の究明をすべきだ。それを、教団を通して何かをやろうとする意図が釈然としない。報道倫理に問題があるのではないか」などがあった。
根田氏は和光大学出身で、2014年にはキリスト教の新聞社の編集顧問として、日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」のインタビューに応じるなど、進歩的な人物だと知られている。このような人物が、他教団に競合紙を非難する情報を提供した動機が問われている。
教団が特定の言論との接触を禁止することは、深刻な言論の自由の侵害である。また、連絡会を用いて、一方の当事者からの情報のみを用いて、もう一方の利害当事者を批判することは、不公平だとの声も上がっている。