パキスタン内務省は、キリスト教NGOのワールド・ビジョンを含む27の国際援助団体に対し、認可されていない地域で活動したり、人権運動家の手助けをしたりしたなどとして、同国内での活動を停止し、90日以内に撤退するよう命じた。
ロイター通信(英語)が昨年12月22日に伝えたところによると、パキスタン内務省から撤退を命じられたのは、アクション・エイド、プラン・インターナショナル、トロケイア、パスファインダー・インターナショナル、デンマーク難民評議会、オープン・ソサエティー財団、オックスファム・オランダ、マリー・ストープスなど27団体。
パキスタンのタラール・チョードリー内務相はロイター通信に対し、これらの団体が「権限を超え、法的に正当化されない」活動をパキスタンで行っていると非難。資金を団体の運営のみに費やし、報告されている活動をしていなかったと語った。
チョードリー氏は、米国で2001年9月11日に起こった同時多発テロ事件後に、同国で活動するNGOの数が増えたと言う。しかし「知ってか知らずか、パキスタンの国益と衝突する活動のために使われるNGOの数も多数ありました」と話す。
援助団体に対する今回の弾圧は、市民活動家に対する弾圧に続くもので、弾圧された活動家のうち数人は依然として行方が分からないままになっている。ロイター通信の調べでは、ジャーナリストや政治家、ソーシャルメディア活動家ら、これまでに少なくとも14人が都市部で連行されたという。
ワールド・ビジョンは、パキスタンでは子どもや若者たちを対象にした活動を行っており、教育や生活を維持するための収入、医療、食糧、家庭内ケアなどの支援を提供している。ワールド・ビジョンのパキスタン支部の広報担当者は英国クリスチャントゥデイに対し、次のように語った。
「ワールド・ビジョンはこの問題に関してパキスタン政府と十分に協力しています。そして私たちはこの決定に対する申し立てが、パキスタンの子どもたちのための私たちの活動を継続できる良い結果をもたらすことを願っています」
ワールド・ビジョンが支援する子どもは2015年以降、80万人に上り、広報担当者は「私たちのプログラムが終了させられた場合、彼らの幸福がどうなってしまうのかと恐れています」と言う。その上で「私たちの第一の関心は、パキスタンの最も傷つきやすい子どもたちのための活動の継続です」と訴える。
パキスタンではこの他、パキスタン電子メディア規制機関(PEMRA)が2016年11月、同国内の11のキリスト教テレビ番組すべての放送を禁止している。当時、この命令に逆らったために、ケーブルテレビの経営者ら少なくとも6人が拘束されるなどした。