英国の植民地支配から独立70年を迎えたパキスタンに対し、英国の国会議員らが、宗教の自由を奪う冒とく法を廃止するよう求めた。
英国の有力議員24人は、パキスタンの大統領と首相に宛てた署名入りの嘆願書の中で、パキスタンの現状は創設者たちのビジョンに反し、「痛ましい対照」をなしていると述べた。
この嘆願書は、パキスタンで激しく迫害されているイスラム教の一派「アフマディーヤ・ムスリム共同体」を代表する超党派の議長であるサイオブハン・マクドナ議員(労働党)が取りまとめた。嘆願書には、「影の内閣」の財相とされるジョン・マクドネル議員(同)も署名している。
マクドナ氏らは、パキスタン国内の宗教的少数派を対象とする複数の法律を引き合いに出し、次のように述べている。
「アフマディーヤ・ムスリム共同体やシーア派イスラム教徒、キリスト教徒、ヒンズー教徒を含む他の宗教的少数派は、(イスラム教)過激派による嫌がらせ、暴力、迫害が横行する国家の手により宗教的自由を奪われ苦しんでいます」
そして、「一致のある開かれた自由な」国という当初のビジョンを取り戻す機会として、独立70年を用いるよう促している。
「これらの切迫した問題に取り組み、こういった法律を廃止することが、パキスタンの国民への価値ある贈り物となることを心から信じています。それは、希望、団結、繁栄という贈り物です。これらの問題に対し緊急の注意が払われることを切実に願っています」
マクドナ氏は、自身がパキスタンの「友」であり、記念日には同国を祝福したことを伝える一方、信教の自由を確保するための「具体的な行動」を取るよう求めた。
「アフマディーヤ・イスラム教徒を対象とする連邦法や、アフマディーヤ・イスラム教徒、キリスト教徒、シーア派イスラム教徒、ヒンズー教徒らの信教の自由を否定する冒とく法は、廃止されなければなりません。すべての宗教共同体が恐れることなく生活し、国家の成功に寄与するためです」と、マクドナ氏は述べている。
この嘆願書には、デビッド・アルトン議員(無所属)やジム・シャノン議員(民主統一党)を含む数人の有力クリスチャン議員らも署名しており、宗教的迫害を終わらせる目的で、パキスタンへの圧力を高める一環として送られた。
欧州議会のマリヤナ・ペティール議員(クロアチア)は今月初め、同議会の機関紙「EPトゥデイ」(英語)で、パキスタンの冒とく法が廃止され、キリスト教徒に「安全な場所」が提供されることを求めた。
「歴代のパキスタン政府は、急進的な過激勢力の繁栄を許し、社会内の寛容を大幅に低下させ、少数派の宗教団体が安全かつ尊厳を持って暮らす権利を剥奪しました」。ペティール氏はまた、人口の1・6パーセントしかいないキリスト教徒が、「迫害を絶えず恐れ、教育と生活の基本的権利が否定され、制限されたゲットー(ユダヤ人の強制居住区)のような地域に住むことを余儀なくされている」と述べている。