著名な科学者の中には、信頼を得るために無神論者だと称する人が相当数いるが、教会の礼拝に出席する科学者も驚くほど多いという。
バチカン天文台の台長であるガイ・コンソルマーニョ修道士(イエズス会)が、カナダのバンクーバー・サン紙(英語)とのインタビューで語った。インタビューは科学と信仰をテーマにしたもので、多くの科学者は自身の科学者としての地位について不安を感じているという。
「テレビに出演するような科学者の中には、科学者としての信頼を得るために、無神論者であることを公言する人がいます(そうしたからといって、信頼を得られるわけではないのですが)。しかし、自分たちを無神論者だとは考えていない90パーセントの一般人にとって、それはかえってうんざりするものなのです」
その一方でコンソルマーニョ氏は、同僚の科学者たちの多くが教会の礼拝に出席しており、驚くほどだと話す。
「教会で自分たちが科学者であると公言することは、科学にとっても宗教にとっても利益になると思いますし、そうすることが必要だと思います。科学がすべての人のためにあることを知らせることが必要なのです。『信じている宗教が間違っていると言っているから、その研究はできません』と誰にも言ってほしくはありません。科学は、無神論者だと主張する老いた白人のためにだけあるのではありませんから」
地球外生命体をキリスト教徒が信じてもよいのか、という問題についても語った。
「私が知る限り、それは問題ではありません。人類の歴史を通して、常に別の世界に生物がいるという推測がされてきました。人類が宇宙の頂点にいると言いたがったのは、ヒューマニストだけでした。キリスト教徒は、神によって造られた非人間的な存在である天使を認める伝統があります。これ以上にSF的なことがあるでしょうか」
一方、「若い地球説」(創世記の記述を字義通り受け止め、24時間6日間で世界が創造されたとする説)を支持する米宣教団体「アンサーズ・イン・ジェネシス(答えは創世記に)」(AiG)のケン・ハム会長は、地球外生命体を探索することを批判して次のように述べている。
「宇宙において私たちは孤独ではありません、私たちは、宇宙を創造し、維持している(ヘブライ1:3)唯一の存在によって常に支えられています(使徒17:25)。研究者たちは、地球と同じ惑星を探したり、地球外生命体を探し求めたりするのではなく、私たちを愛し、そして死んでくださった神(なるイエス・キリスト)を見いだすべきです」
ハム氏はまた、「生命が地球外のどこかに創造されたかもしれない」と信じるに値する証拠を聖書は提供していないと論じている。
しかしコンソルマーニョ氏は、天体物理分野において人類が現在持ち合わせている知識はまだまだ不十分であり、地球外生命体の探求はとても重要だと言う。「そうしてこそ、私たちは、生命とは何か、またその基本的な化学的性質を理解できるのです」
コンソルマーニョ氏はこれまで、信仰が科学と共存できないと考えるキリスト教徒に対して強く反発してきた。昨年3月、米国のカトリック系高校で講演した際には次のように語っている。
「このこと(信仰と科学の共存)は2つの問題に帰結すると思います。つまり、科学者に『すべてのことに答えられるわけではないことを理解する謙虚さ』がないこと、そして、宗教家に『神がいかにして宇宙を創造されたかを知ることはできないと認識する謙虚さ』がないということなのです」