物理学者アルベルト・アインシュタイン(1879〜1955)が、神を創造者と書いた手紙が、オークションで4万9千ポンド(約900万円)で落札された。
アインシュタインが電気技師ジョバンニ・ジョルジ宛にイタリア語で書いた珍しい手紙で、1915年に発表した相対性理論を擁護している内容のものだ。手紙では、相対性理論に対し反証しようとしていた、米国の物理学者デイトン・ミラーの批判に言及している。
アインシュタインはジョルジへの手紙にこう書いている。
「私は、天空の運動が高度に(数式)によって成り立っているというのは特に不可能だという事実をもって、あなたの意見に賛同します。神は、より深い知性と優雅さを持って世界を創造したのです」
米マサチューセッツ州にあるPRオークションのスポークスマンは、この創造者である神についての討論を「魅惑的だ」と言う。「アインシュタインは人格を持った神を信じてはいなかったのですが、量子物理学の解釈の違いを議論するときに、科学的文脈で神を語ることを避けなかったのです」
「1929年、アインシュタインは『全ての存在の調和の中に自らを表すスピノザの神』を信じていると語りました。そして1950年代には、『もし宗教的といわれる何かが私の中に存在するなら、それは私たちが科学によって明らかにできる世界の構造に対する際限のない賞賛です』と書いています」と、そのスポークスマンは言う。「この手紙から見受けられるのは、世界が『知性と優雅さ』をもってデザインされたとする神の概念です。これは後の構造的調和の発見とも一致しています」
2012年、アインシュタインが聖書の神を信じていないことを明確にしたいわゆる「ゴッド・レター」に、300万ドル(約3億5700万円)の値が付いた。この手紙は1954年、アインシュタインの死の直前にユダヤ人哲学者エリック・グートキントに宛てて書かれたもので、「神という言葉は、私にとっては人間の弱さの表現であり産物に過ぎず、聖書は敬うべき本ではあるけれども、かなり子どもっぽい、原始的な伝説に過ぎません。どんなに緻密な解釈があったとしても、私の考えを変えることはできないでしょう」と書かれている。