ある男性の物語です。彼は裕福な家庭に生まれ、ハーバード大学を卒業し、ある州の議員として活躍していました。22歳の時に結婚して、幸せな人生を送っていました。
ところがその3年後、思いがけない困難が彼の人生に襲いかかります。出張中の彼のもとに、妻が女の子を出産したという電報が届いたのですが、大喜びしていると、その数時間後に、第2報が入ってきました。なんと、妻がこん睡状態になっているという知らせでした。急いで帰路につき、真夜中ごろに家に着きました。
しかし、翌日の午後、最愛の妻は22歳という若さで帰らぬ人となってしまいました。妊娠のために、腎臓病であることが見落とされていたのです。しかも、同じ日に何ということでしょう。同居していた母親も48歳で亡くなります。
彼は絶望と悲しみのどん底に突き落とされます。たった1日のうちに最愛の妻と母親を亡くすという苦しみ、悲しみ、言葉にならない痛み・・・。彼は日記に「私の人生から光が永久に消え去ってしまった」と記しました。
生まれたばかりの娘を自分の妹に預けて、州議会議員の職も辞して、ある州に退き、1人で働きながら過ごし、回復の道へと備えます。そうです。この男は、このままで終わりませんでした。彼は落胆しましたが、落胆し続けることはありませんでした。彼は絶望の日々を送りましたが、その日々を続けることはしませんでした。回復へと備えました。
2年後にはニューヨーク州に戻り、そこで大いに働きます。市警の幹部として活躍し、警察組織の腐敗を正す働きまで成し遂げました。また、時の米国大統領ハリソンの指名により、行政委員会の委員に就任しました。米西戦争に従軍して大きな働きをし、戦後は警察のトップや州知事まで務めました。
そして、やがてその時に、彼はアメリカ合衆国のトップである大統領にまで選ばれました。また、日露戦争では日本・ロシア間の調停役を務め、停戦および講和条約での和平交渉に尽力しました。この和平交渉の斡旋(あっせん)により、彼はノーベル平和賞まで受賞します(米国人で初の受賞者となりました)。
彼をあの奈落の底から引き揚げ、絶望の日々から救ったものがありました。まさに、聖書です。「強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主が、あなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである」(ヨシュア記1章9節)。
彼は、この聖書の言葉が大好きでした。彼は、その聖書の言葉の通り、強く雄々しく生きていくことを選び取り、偉大なアメリカ合衆国第26代大統領とされたのです。
この物語に出てくる彼こそ、アメリカ合衆国が誇る偉大な大統領セオドア・ルーズベルトなのです。(『100人の聖書』103~105ページ参照)
皆さんも、ルーズベルト大統領に習って、この聖書の言葉を握りしめてみませんか。「強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主(キリストの神様)が、あなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである!」
本当に苦しくて、泣きたくて、もがいている状況かもしれません。どん底まで突き落とされたような状態かもしれません。それでも、ルーズベルトのように、この聖書の言葉を握って、今日、今から、立ち上がりませんか。
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【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
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