ユリシーズ・グラント(1822~85)という人物をご存じでしょうか。かの有名な岩倉具視使節団と会見したのが彼であり、大統領職後には1879年に訪日を果たしています。その際は、国賓として明治天皇とも会見、浜離宮や上野公園、日光東照宮を訪れました。
そのアメリカ合衆国第18代大統領ユリシーズ・グラントの言葉をお届けします。「聖書は私たちの自由の礎である」(『100人の聖書』100ページ参照)
短い言葉ですが、非常に意味深い言葉です。皆さんは、自由でしょうか。「自由です!」と言える方、「不自由です!」と言う方、いろいろな方がいると思います。そして、世界には自由を奪われた人たちが多数存在しています。私が想像もできないような日々を過ごす人々が大勢いるのだと思います。だからこそ、人間にとって本当に必要なのは、本当の自由ではないでしょうか。
米国第18代大統領グラントの言葉通り、まさに聖書は、自由について、要するに人間が自由になる方法について語っている書物です。
ある海外の先生から聞いたところによると、現在米国では年間約90万人以上の人々が行方不明になっているそうです。その中には、誘拐や犯罪に巻き込まれた人たち、また人身売買などの犠牲となった人々もたくさんいるでしょう。
また、その先生曰く、世界中で約3億人もの女の子たちが人身売買の犠牲となり、体を売ることを強制されているというのです。とんでもない数ではないでしょうか。実際にどれくらいかは正確に分からずとも、多くの人たちが今も搾取の中にいることは、世界情勢を見ていて明らかです。
約90万人。皆さんが住んでいる市区町村の人口の何倍でしょうか。ちなみに、日本で言えば東京都世田谷区の人口が約90万人、世界規模から見た場合はアフリカ北東部に位置するジブチ共和国の人口が約90万人です。
また、3億人。かの先生の言葉通りならば、日本の全人口の2倍以上もの女の子たちの苦痛、痛みがあるということになります。
現実的に、今日、今この瞬間にも、奴隷のような扱いを受けている子どもたちや女性、そして男性が世界中に存在するということが、偽りなき事実です。まさに、自由を剝奪され、時間も体も精神も奴隷とされている人たちです。
リンカーン大統領が有名な奴隷解放宣言をしましたが、だからといって、全世界から奴隷が消滅したわけではありません。多くの人々が奴隷のように扱われているのが現実だと思われます。
現実的には、ただ己の欲望や金銭欲のために、多くの子どもや女性たちの精神的自由、肉体の自由を奪い、性的搾取をしている人たちがいるのです。そして、流されている涙、壊されている心がどれほどあるでしょうか。1日に、また今この瞬間に、世界のどこかで流されている絶望の涙の量・・・。
痛ましい現実が、この世界に存在している。このことを知ると、私たちは本当に自由な環境にいると思うのです。自由に外出できるし、好きな人と出掛けることができるし、好きな時にスマホを使い、同僚たちとランチに行ける。
この世界状況を変えたいと思っても、1人が何かして変わるとは思えないかもしれません。でも、何もしなければ、今日も明日も絶望の涙を流す女の子たちの数は減りませんし、壊される心が、世界中で増えることでしょう。多くの大人によって傷つけられ、もてあそばれる子どもたち、女性たちのために何ができるでしょうか。
「聖書は私たちの自由の礎」とグラントは語りました。その聖書は、キリストの神がすべての人を愛していると教えています。皆さんのことも、そして犯罪に巻き込まれた、また人身売買の犠牲となり奴隷のような扱いを受けている子どもたちや性的搾取の下にいる女性たちのことも平等に愛しておられるのです、キリストの神様は。
キリストの神様は、皆さんを愛しているのです。お賽銭(さいせん)をあげないといけないような神々ではありません。年に1回お正月に拝みに行くような神々でもありません。
キリストの神様は、皆さんを、すべての人たちを愛しているが故に、すべての人たちを自由にしたいと思っています。自由になってほしいのです。そんなことを願っているのはキリストの神様だけでしょうね。どこの神社仏閣の神々がそのようなことを願っているでしょうか。
ぜひ、このような話を、多くの人にお知らせください。犯罪に巻き込まれているであろう多くの人々、そして3億人ともいわれる女の子たちが今受けている苦痛を。3億人という数が正しかろうが間違っていようが、そのような搾取の下にいる女性たちがいっぱい存在するのは事実です。
私たち、自由な環境にある者が、この事実を知ってできることが幾つかあります。1つ目は、祈りです。ぜひ、祈りを集結させませんか。「この世界で性的搾取に遭っている女性たち、人身売買の奴隷となっている子どもたちに解放を。彼女たちに自由を。イエス・キリストのお名前で祈ります。アーメン」と祈りましょう! 祈りには力があります。祈りはいつでもできます。どこでもできます。
ランチの前にひと言。自分の部屋でひと言。トイレの中でひと言でもいいのです。また、電車に乗りながら心の中でひと言祈ることもできます。このお祈りは、正月に神社などに行ってやるのではなく、今日からどこででもできます。
最後に2つ目の提案です。この話をお知らせください。現実を知らなければ、祈ることもできないし、立ち上がって闘い出すこともできません。この話をぜひ、お友達、知り合い、クラスメート、同僚、遊び仲間にもお知らせください。今日、同僚、クラスメート、仲間とランチしながら、家族で夕食を食べながら話し合ってみてください。知ることによって、新しい何かが始まるかもしれません。誰かから。
日本に、世界に、自由の喜びが広がるように、私たちから祈りを、シェアを始めましょう。絶望して流される涙が減るように、男性(女性)にもてあそばれて壊れる心がなくなるように。すべての心が喜びに満たされるように。すべての顔に笑顔が戻るように。3億人ともいわれる女の子たちに自由を!全世界の苦しんでいる子どもたちに平和を!
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【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
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