ドイツ・ボンで開催中の国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23、会期:6日〜17日)に対して、世界教会協議会(WCC)、ルーテル世界連盟(LWF)、ACTアライアンス(プロテスタントの救援組織)の3団体は、各国政府による取り組みが遅れているとして懸念を表明した。WCCは120カ国340以上の教会や教派が加盟する世界組織で、加盟教会・教派に連なるクリスチャンは5億人を超える。
「公平な温暖化対策を遅らせてはなりません。気候変動問題を解決するには、世界は弱者に目を向けなければなりません」。WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事はこう強調し、「私たちは、共に多くのステップを踏んできました。気候変動を阻止する努力が必要であると私たちが確信していることは明らかです。そればかりか、公平な温暖化対策の必要性も確信しており、この問題に対処する責任も課されています。直ちに行動しなければなりません」と訴えた。
これら3団体が共通して認識していることは、開幕から1週間以上が経過したCOP23のこれまでの議論では、世界の最も弱い立場にある民族や地域住民から挙げられた主要な要求に対して、それを保証する進展がほとんど見られなかったことだ。3団体によると、気候変動に伴う損害への対応強化や資金調達、気候対策のための財源提供を明確にする目に見える措置は、これまでのところ取られていない。
残された交渉期間で焦点となるのは、今回初めて議長国を務める南太平洋の島しょ国フィジーとCOP23が、現在すでに厳しい状況に置かれている弱い立場の国々のニーズをいかに優先させられるか。ACTアライアンスのルデルマル・ブエノ・デ・ファリア総幹事は、「COP23がこの機会を失わないよう願っています。気候変動による最も厳しい影響を受けている数百万人もの人々の願いは、気候変動とその影響を緩和する緊急の行動にかかっています」と言う。
「これは『専門的な』気候変動会議ですが、交渉者は気候変動の本題を忘れないでほしいです。つまり、気候変動の結果として深刻な危機にひんしている人々が世界中にいるということです」
LWFのマルティン・ユンゲ総幹事は、「公平な温暖化対策は、世代を超えた問題であり、教会が今すぐ行動に移すべき問題でもあます」と語った。
「私は、教会が温暖化対策や広報活動に取り組んでいるという話を聞いて励まされています。LWFの若い代表者たちが、COP23でそれを話してくれました。エネルギーの代替、責任ある消費、神学教育、公平な温暖化対策に関する地域的な広報活動などが、すでに幾つかの教会で議題になっています。これは良い知らせです」
ユンゲ氏は、気候変動に対処する緊急性についても強調し、「気候変動は偽ニュースではありません。人類、特に最も弱い立場にある人々にとっては悪い知らせです。パリ協定を実施する必要があります。今すぐにです」と訴えた。
COP23の中心課題は、2020年以降の温暖化対策を定めた国際的な枠組み「パリ協定」の実施に向けたルールやガイドラインの策定にある。これらが具体的に決まることで、適切な環境や原動力が創出され、今後は各国が、温暖化ガス排出の削減や再生可能エネルギーの導入、弱者に対する適切な支援など、環境問題に対する総合的な国家計画を立てていくことになる。