国の安全保障に反する活動を行ったとして、4年の禁錮刑を命じられていたイラン人キリスト教徒の女性、マリアム・ナガーシュ・ザルガランさん(39)が、首都テヘランのエビン刑務所での服役を終え、出所した。イスラム教からキリスト教に改宗したザルガランさんは2013年1月、孤児院の働きに関連して、イラン系米国人のサイード・アベディニ牧師(2016年1月に釈放)と共に逮捕されていた。
キリスト教の迫害監視団体「ワールド・ウォッチ・モニター」(WWM、英語)によると、ザルガランさんが解放されたのは今月1日夜。ザルガランさんは、「イラン社会をイスラム教から引き離すため、イランでキリスト教を広めようとする英国とイスラエルによる、安全を脅かす企てに関与した」として、禁錮4年を命じられていた。
先天性の心臓病のため、10年前に手術を受けているザルガランさんは、腰椎椎間板の疾患や関節炎、骨粗しょう症などの病気を患っており、収監により病状が悪化したと伝えられている。
収監中は病気の治療を拒否されることもあり、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、イランの「残酷な」医療拒否の事例として、ザルガランさんに言及している。WWMによると、ザルガランさんは収監中に数回のハンガーストライキを行い、治療のために刑務所を一時的に出ることが何度か許可されている。しかし毎回、治療が完全に終わる前に刑務所に戻るように強いられたという。刑期も刑務所外で過ごした期間として、6週間延長された。
擁護団体「アーティクル18」のマンスール・ボルジ氏はWWMに対し、「重大な健康問題があるにもかかわらず、彼女を不当に拘禁したことは、イランが宗教的自由を尊重していないことの明白な証拠です」と語った。ボルジ氏は、「この抑圧は、(キリスト教徒の)逮捕者増加を反映するもので、宗教的少数派、特にキリスト教徒に対する組織的な中傷活動を反映したものです」と話している。