イランで、イエス・キリストへの信仰という理由のみにより、少なくとも25人のキリスト教徒が逮捕された。
イラン最大の反体制組織である「イラン国民抵抗評議会」(NCRI)が、同国の人権派グループの報告として伝えたところによると、治安当局が最近、中南部の都市ケルマーンで抜き打ちの家宅捜索を行い、キリスト教徒25人を逮捕した。
治安当局はキリスト教徒らの自宅を家宅捜索し、所持品を押収した上、25人もの信者を逮捕したという。今のところ、逮捕されたキリスト教徒らの所在や逮捕理由は明らかにされていない。
キリスト教迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」は、イランを世界で9番目に迫害が厳しい国にランク付けしている。イスラム教シーア派国家であるイランは、キリスト教徒に対して敵意を抱き、迫害していることで広く知られている。
イランではキリスト教と聖書に対する敵意が強く、キリスト教徒は家の教会で密かに礼拝しなければならない。同国の宗教警察は、キリスト教徒らが秘密裏に礼拝に集っている疑いがある場合、抜き打ちで家宅捜索を行い、教会指導者や礼拝者を逮捕し、聖書やその他のキリスト教文書を押収したり、破棄したりするという。
8月には、武装警官が中部の都市イスファハンの中心部にある家の教会を家宅捜索し、キリスト教徒11人を逮捕した。警官らは、家の中で見つかったキリスト教文書も押収した。
8月26日には、首都テヘランの北部にあるフィールーズクーフ郡の庭園で行われたキリスト教徒らのピクニックを当局が捜索。モーニング・スター・ニュースによると、当事者のうち少なくとも5人が逮捕された。
モハバット・ニュースによると、イラン警察は、イスラム教の原則が無視されているという理由で、キリスト教の結婚式や集会も取り締まり始めている。
クリスマスの時期でさえ、イランのキリスト教徒は迫害の危険にさらされる。2014年のクリスマスには、テヘラン州ローデヘンにある家の教会が家宅捜索され、キリスト教徒9人が逮捕された。
NCRIによると、イラン政府はクリスマスにキリスト教徒7人を死刑に処した。
しかし、キリスト教徒に対するイラン政権の敵意にもかかわらず、キリスト教は同国で成長している。
イランの家の教会ムーブメントに近い情報筋によると、イランには45万〜100万人のキリスト教徒がいると考えられている。同情報筋は3月、クリスチャンポストに「かなりの人数のイスラム教徒がキリスト教に改宗している」 と語っていた。
3年半余りイランで投獄されていたイラン系米国人のサイード・アベディニ牧師は、処刑されたキリスト教徒のアリ・アサディさんの証しの動画を最近、公開した。動画は、アサディさんが処刑される前に撮影されたものである。
アベディニ牧師によると、アサディさんは動画の中で、目前に迫る死を恐れていないと語っていた。神の裁きを恐れるべきなのは、イランの指導者たちであることを知っているからだと語っていたという。
アベディニ牧師は、アサディさんの言葉を引用してこう述べた。「イランのイスラム教指導者たちは、彼のような人物を本当に恐れています。それは彼らが、神の裁きに直面しているからです。彼らこそ神の裁きを恐れるべきなのです」