「彼らと戦えないのであれば、彼らのスタイルをコピーせよ」
ナイジェリアで最近、信者の流出を食い止めようと、キリスト教の礼拝スタイルをまねるイスラム教のグループが増えている。同国ではキリスト教の成長が著しく、イスラム教徒でさえも教会に引き付けているという。
AFP通信(英語)によると、キリスト教の礼拝スタイルをまねる目的は、イスラム教徒がキリスト教の日曜日朝の礼拝に出席することをやめさせ、改宗者を出さないようにすることにある。
ナイジェリアはかつて、キリスト教徒よりもイスラム教徒が多かった。米ピュー研究所によると、1953年には人口の45・3パーセントがイスラム教徒で、キリスト教徒は21・4パーセント、他宗教を信じる人は33・3パーセントだった。しかし2010年には、キリスト教徒の数は8050万人となり、イスラム教徒の7570万人を上回った。
ナイジェリアは現在、アフリカで最大のキリスト教人口を抱える国で、プロテスタント約6千万人、カトリック約2千万人、他教派のキリスト教徒75万人以上がいるとされている。
ピュー研究所によると、ナイジェリアでは1970年代から、すべての主要なキリスト教の教派で成長が見られ、特にペンテコステ派の教会が最も大きく成長したという。ペンテコステ派が成功を収めている主な理由の1つに、教会での活発な礼拝が挙げられる。
米カンザス大学のエベニーザー・オバデア教授(社会学)はAFP通信に、この流れを妨げるために、ナイジェリア南西部の幾つかのイスラム教グループは、「通常はペンテコステ派だけに見られるスタイルと非常に似通った祈りの新しい様式、伝道の方法、数々のディボーションを導入しました」と述べた。
これらのグループは今、イスラム教の伝統的な金曜日の祈りに加えて、日曜日の朝に「カリスマ的な」集会を行っている。オバデア氏によると、この試みは、イスラム教徒が日曜日の朝にキリスト教の礼拝に出席するのを防ぐためのものだという。
首都ラゴスでは、「イスラム教ペンテコステ派」とも呼ばれている「ナイジェリア・ナスルル・ライリ・ファティ協会」(NASFAT)のイマム(イスラム教の指導者)が、同国で成長の著しい福音派教会の指導者の説教スタイルをまねているという。また、彼が何千人もの礼拝者の前で通路を歩き回るとき、祈り用マットの上にいる人々は、ペンテコステ派のキリスト教徒がするのとまったく同じように、両手を空に向かって上げて祈るという。