庭野平和財団は24日、第32回庭野平和賞を、キリスト教ペンテコステ派の牧師、エスター・アビミク・イバンガ氏に贈ると発表した。ナイジェリアにおける平和構築決に向けた広範囲な取り組みが評価された。
ナイジェリア出身のイバンガ氏は、クリスチャンホームに生まれ、大学で経営学を学び、1986年に卒業。ナイジェリア中央銀行に勤務していた95年に、「ジョス国際キリスト教伝道所」を設立し、主席牧師に就任する。また、2010年には「障壁なき女性たちのイニシアティブ」(WOWWI)を創設し、同団体の会長となる。ナイジェリア国内を中心に、女性の職業訓練や社会的弱者の権利擁護、国内避難民や貧困者への援助、紛争状態にあるコミュニティー間の対話・調停など、平和構築に向けた幅広い活動を行ってきた。
ナイジェリアでは、イスラム教を信仰する北部民族とキリスト教を信仰する南部民族が対立し、激しい紛争が繰り広げられてきている。特に、欧米諸国に強硬に対抗するイスラム系過激派組織「ボコ・ハラム」による宗教指導者襲撃、女性・子どもの大量誘拐は、大きな社会問題となっており、イバンガ氏は非難の声を上げている。
受賞を受けてイバンガ氏は、「全ての創造主である神は、私たちが次元の異なるさまざまな智慧(ちえ)を発揮できるように、一人ひとりに違いを与えてくれました。それは神の恩恵であり、美の現れです。違いにとらわれず、全ての人間を愛すること。それが牧師としての私の務めです」とコメントした。
贈呈式は5月14日に、国際文化会館(東京都港区)で行われ、正賞として賞状、副賞として賞金2000万円及び顕彰メダルが贈られる。受賞者による記念講演も行われる予定。
同財団は、立正佼成会(仏教日蓮系宗教法人)の40周年記念事業として、1978年に設立され、宗教間協力を基盤とした平和のための活動を推進することを目指している。同会の開祖である庭野日敬(にっきょう)名誉総裁の精神と行動を尊重し、宗教間協力を通じた世界平和の推進に顕著な功績を挙げた人または団体を対象に、庭野平和賞を授与している。授賞者の選考は、世界125カ国、約600人の宗教指導者及び有識者に推薦を依頼し、仏教、キリスト教、イスラム教など11人で構成される庭野平和賞選考委員会の厳正な審査を経て決定される。
これまで、キリスト教界からは、ブラジル・キリスト教連合会の創設に尽力したヘルダー・ペアソ・カマラ大司教(第1回、ブラジル)や、北アイルランドの紛争解決に向けてカトリック・プロテスタントが一致する「コリメーラ共同体」(第14回、北アイルランド)、HIV・エイズ撲滅運動に取り組むギデオン・ビャムギシャ参事司祭(2009年、ウガンダ)、ノルウェー国教会オスロ名誉監督でノーベル平和委員会のグナール・スタルセット氏(第30回、ノルウェー)ら、多数の聖職者・団体が受賞している。
庭野平和賞に関する詳細・問い合わせは、同財団(電話:03・3226・4371、ホームページ)まで。