国内開拓伝道会(KDK、実行委員長:泉田昭・練馬バプテスト教会協力牧師)による第20回開拓伝道セミナーが国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で24、25日に開催された。今回のテーマは「教会を建て上げる」。開拓伝道に関心を持つ牧師、役員、信徒が、北は秋田、南は沖縄から参加した。
24日午後2時から開会礼拝が行われ、村上宣道氏(日本ホーリネス教団坂戸教会協力牧師)が、「見よ、わたしはあなたの前に門を開いておいた」とあるヨハネ黙示録3章7、8節から「キーパーソンは誰だ」と題してメッセージを取り次いだ。
「神様は門を開いてくださっているという信仰に立ちたい。すでに満たされている教会よりも、これから伸びる教会の方がファイトが湧く。やってやろうじゃないか」
そして、ペトロが牢から救い出される使徒12章の箇所を引用して、「祈りは、門を開く力がある。自分には少ししか力がないのは分かっているけれど、神にはできる。可能にしてくださる」と力強く語った。そして、最後にこう語ってメッセージを締めくくった。「キーパーソンは誰か。それは神様ご自身。私には好きな言葉がある。それは『私にはフューチャー(夢)がある』という言葉だ」
続いて中島秀一氏(日本イエス・キリスト教団荻窪栄光教会牧師)が歓迎の言葉として、「日本は伝道の真っ最中。ここに集っている皆さんは、まさに伝道の最前線にいる。夢、ビジョンを抱いて祈るなら、教会に人は集まる」と語った。
その後、シンガー・ソングライターのベック由美子さんと常田(つねだ)美香さんによる賛美リードで、参加者全員で賛美をささげた。
今回のセミナーの講師である福井誠氏(日本バプテスト教会連合玉川キリスト教会牧師)は「開拓伝道の人格形成と教会形成」と題し、2日間にわたって3回の講演を行った。午後3時からの講演1では、「開拓者のための聖書的基礎」をテーマに語られた。聖書にある「神が与えたビジョン」として、アブラハム契約、イエスの十字架の意味、パウロが語る奥義、ヨハネが与えられた幻の4つから、教会形成についての理解を深めた。
「教会が大きくなることも大切だが、小さくても大きくても、神の平和と主にある一致があること。何よりそこに至るには、牧師が神と良き時を過ごしていることが鍵となる」
また教会と社会の関わりについては、「20~30人の教会で、果たして社会的貢献が可能だろうか。それでも大事なことは、『今はできないけれど、将来はできる』という信仰に立つこと」と語った。
この講演の後、分かち合いと祈りの時間を持ち、4グループに分かれて、学んだことを共有した。沖縄から参加した上里亘氏(豊見城バプテスト教会牧師)は、「とても楽しみにして参加しました」と笑顔で語った。
夜7時からの講演2では、「リーダーシップのための聖書的基礎」と題して「関わりのリーダーシップ」「目標を示すリーダーシップ」について学んだ。具体的には、イエスはどのような方法で語られたかが紹介された。また、教会での総会、会議の運営方法など、教会形成に必要な理解も深めた。そして、キリストが大切にされた3つの価値観「自分が変わる」「互いに愛し合う」「霊的な実を結ぶ」を聖書から実践的に学んだ。
翌25日は午前9時から、スティーブ・ウイラー氏がバイブルメッセージを担当した。ウイラー氏は、KDKを50年以上にわたって支え続けている米国の宣教団体ホワイトフィールズ代表だ。続いて開拓者のリポートがあり、午後からは福井氏による3回目の講演があった。そこでは、「自己管理と成熟のための聖書的基礎」として、牧会者の自己管理、牧会者の成熟について参加者と共に学んだ。そして最後に閉会礼拝で板倉邦雄氏(日本長老教会千葉みどり台教会牧師)が御言葉を取り次いだ。
「開拓伝道も大切だが、今ある教会の維持・保持はもっと緊急の課題だ」「苦闘している教会、牧師を放っておいて、新しい教会はないだろう」という声も現実にはあるが、今回のセミナーでは改めて御言葉に立って開拓伝道に励むことの大切さを学ぶことができた。次回は2年後を予定している。