カトリック教会の総本山であるバチカン(ローマ教皇庁)のサンピエトロ大聖堂で13日午後、聖公会の「夕の礼拝」(晩祷)が初めて行われた。
礼拝では、ローマ聖公会センター所長のデービッド・モクソン大主教が司式をし、バチカンの典礼秘跡省次官のアーサー・ロシュ大司教が説教を行った。賛美は、英オックスフォ―ド大学マートン・カレッジの聖歌隊が歌った。
ローマ聖公会センターのウェブサイト(英語)によると、この礼拝は、アングロサクソン人を伝道するために、初代カンタベリー大司教となるアウグスティヌス(〜604)を英国に遣わしたローマ教皇グレゴリウス1世(540〜604)を記念して行われた。
昨年1月に英国のカンタベリーで開かれた聖公会の首座主教会議では、グレゴリウス1世の牧杖の首部が、カトリック教会側から支持の印として送られていた。また、現ローマ教皇のフランシスコは昨年10月、ローマでカンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビーと面会した際、グレゴリウス1世の牧杖をかたどって作られた木製の牧杖をウェルビー大主教に贈っていた。
13日の礼拝はグレゴリウス1世の墓所への行進で終わり、そこでイエス・キリストにある全ての教会のために祈りがささげられた。
英誌「カトリック・ヘラルド」(英語)によると、ロシュ大司教は説教で「私はグレゴリウス1世が彼の時代においてとても勇気のある人であったと思います。そして私は、その勇気が今日なお、ここで私たちに対して、困難にもかかわらず出て行くように語っていると思います。ちょうど教皇フランシスコとウェルビー大主教が喜びに満ちて福音を宣言しましょうと語っているようにです」と語った。
教皇フランシスコは先月末、ローマにある聖公会の諸聖人教会を訪問。カトリック教会の教皇が聖公会の教会を訪問するのはこれが初めてで、教皇フランシスコは創立200周年を祝う同教会の「夕の礼拝」に参加し、聖公会の主教と共に祈った。
今年は、マルティン・ルターの宗教改革から500年となる節目の年。また、カトリック教会と聖公会の関係改善を目的に設立されたローマ聖公会センターも昨年、創立50年を迎えたばかりだ。ローマ聖公会センターは先月に発表した声明で、「バチカンで『夕の礼拝』を行う決断は、アングリカン・コミュニオン(全世界聖公会)とカトリック教会の間の愛着と信頼の絆が深まっている事実を反映しています」と述べていた。