ドキュメンタリー映像作家・池谷薫監督の特別上映会が4月7日(金)と8日(土)、兵庫県立美術館ミュージアムホール(神戸市)で開催される。主催は、兵庫県立美術館アートフュージョン実行委員会、NPO神戸100年映画祭、蓮ユニバース、兵庫県映画センター。ドキュメンタリー映画の第一人者である池谷監督の4作品一挙上映は、国内外を通じて初の試みだ。
今回上映されるのは、「延安(えんあん)の娘」(2002年)、「蟻の兵隊」(05年)、「先祖になる」(12年)、「ルンタ」(15年)。混乱した社会で真摯(しんし)に生きる人たちの姿を、時間をかけて追い続け、そこに見いだされた真実を、圧倒的迫力をもって観客に示すこれらの作品は、国内外で高い評価を得、数々の賞に輝く。
中でも、東日本大震災で息子を亡くした木こりの老人が家を再建するまでを追った「先祖になる」は、ベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別賞など各国の賞のほか、第38回日本カトリック映画賞にも輝いている。
4作品に共通するテーマは「人間の尊厳」。池谷監督も「映画を撮ることで追い求めてきたものは、いつも『人間の尊厳とは何か』という根源的な問い掛けでした」と語る。カトリックの精神に合致する普遍的なテーマを描いた優秀な映画作品の監督に贈られるカトリック映画賞を受賞したことは、誰もが納得するところだ。
今回の上映会に当たり池谷監督は、「トランプ米大統領の入国禁止令など、世界がそろって不寛容に向かう今、時代や国家に翻弄(ほんろう)されながらも懸命に生き抜く人々を描いた僕の作品を通じて、人が人として生きることの意味を問い直したいと考えています」と話す。
各回上映後には、監督のトークとサイン会も予定されている。
4月7日(金)午前10時半「延安の娘」、午後2時「蟻の兵隊」。4月8日(土)午前10時半「先祖になる」、午後2時「ルンタ」。いずれの回も開場は30分前。定員250人。
料金は1回券(映画&トーク)一般・シニア千円、芸術の館友の会会員500円、NPO神戸100年映画祭・賛助会員800円、正会員無料。2回券1600円、4回券3千円。入場券は全て4月7日午前10時から会場にて販売。満員の場合は入場制限の可能性あり。
問い合わせは、兵庫県映画センター内 KEN-VI名画サロン係(電話:078・331・6100)まで。