By Dr. K. Kinoshita(木下和好)
YouCanSpeak 開発者・同時通訳者
元NHK TV・ラジオ 英語教授
<瞬間英作の大切さ>
世界のどんな言語であれ、自然な会話をするためには「瞬間作文」の能力が備わっていることが前提となる。英語を話す場合は「瞬間英作力」となる。まず脳に思い描くイメージ(言いたい内容)を、その思考パターンに従って的確に音の並び、すなわち英文に変換させる必要がある。この変換作業がなければ、英語が口から出てくることはない。
子どもの時に英語を母国語として習得する場合は、自然にまた無意識的に瞬間英作力が身に付く。でも、10歳以降、特に13歳以降に英語を学ぶ場合、瞬間英作力は自然にまた無意識的に身に付けることは困難となり、どうしても意識的にまた正しい学習法に従って学ぶ必要がある。
また、「英作力」は瞬間的でなくてはならない。脳内で瞬間的に英作されない限り、英語での会話を維持することができない。それで英語を自由に話すためには、「英作力」と「瞬間的」という2つがキーワードとなる。
<瞬間英作のプロセス>
スピーキングとは、人が何かを思った瞬間にそれを音声で表現することを意味するが、瞬間的な出来事であっても、脳内で起こることにはプロセス(順序)があり、それがスピーキングメカニズムとなる。
1. 人はまず脳の Creative Area と呼ばれる部分で、何かをイメージする。この「イメージ」は「思い」とか「言いたい内容」と言うこともできる。人の話を聞いたときに脳に浮かぶイメージは「思い」ではなく「意味」と呼ばれる。
2. Creative Area で思い浮かべたイメージは、その思考パターンに従ってスピーキング脳(Broca’s Area)で音の並び(単語・語順etc)に変換される。この作業が「瞬間英作Step1」である。この段階で「イメージ」を他人に伝達するための「文」になるが(単語1語の場合もある)、「音の並び」とはいってもまだ音声化前なので、このままではそのイメージを人に伝えることはできない。
3. 次の瞬間、スピーキング脳は音の並びを運動神経パルスに変換し(瞬間英作Step2)、そのパルスを横隔膜・声帯・舌・唇・下顎に伝える。
4. 横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスに従って動き、空気振動(音声波形)を作り出す(瞬間英作Step3)。それが空気を伝わって聞く人の耳に届く。ここまでがスピーキングのプロセスとなる
Creative Area でイメージ(言いたい内容)を思い描く
↓
スピーキング脳がイメージをその思考パターンに従って即座に音の並び(単語・語順etc)に変換
(瞬間英作Step1)
同時に音の並びを運動神経パルスに変換する
(瞬間英作Step2)
↓
横隔膜・声帯・舌・唇・下顎が運動神経パルスを空気振動(音声波形)に変換
(瞬間英作Step3)
<英作の練習>
瞬間英作には文字通り2つの要素がある。1つは「英作」で、もう1つが「瞬間」である。
「英作」とは Creative Area で思い描くイメージ(思い・言いたい内容)をその思考パターンに従って「音の並び(単語・語順etc)」に変換することを意味する(瞬間英作Step1)。そのためには「イメージ」と「音の並び」が結合されていることが大前提となる。
英語圏に生まれ育った子どもは、英語漬けの環境の中で、自然にしかも無意識的に「イメージ」と「音の並び」が結合されていくので、瞬間英作の意識のないまま瞬間英作をし、英語を自由に話すようになる。でも、10歳以降、特に13歳以降に英語を学ぼうとするとき、英語に触れるだけでは自然にまた無意識的には「イメージ」と「音の並び」が結合しにくくなる。最悪の場合、英語圏に何年も住んでも「イメージ」と「音の並び」の結合が進まず、何十年たっても英語が話せない状態が続く危険性がある。
10歳以降、特に13歳以降に英語を学ぶ場合は、「イメージ」と「音の並び」を結合させ、また応用力を身に付けるための学習プログラムが必要である。そして意識的に学んでいかなければならない。でも、この視点から開発された学習プログラムは珍しく、またネイティブの先生方が教える場合も、「イメージと音の並びの結合」という概念が薄い場合が多い。
では、日本人の場合、何をどう学べば「イメージ」と「音の並び」が結合していくのだろうか。実はそのために開発された英語スピーキング習得プログラムが YouCanSpeak である。YCSの一番の特徴は「代入法」で「イメージ」の思考パターンを48種類に分類し、それらを徹底的に学び、簡単な英文に代入して、無限に近い英文が言えるようになる学習法である。
<代入法の特徴>
イメージと音の並びの結合を可能にするための代入法は、英語の3大ルールによって可能となる。
【ルール1:全ての英文は3大要素で成り立っている】
全ての英文は「名詞」「動詞」「副詞」の3大要素で成り立っている。ただし1つの英文に「名詞」や「副詞」が複数使われることがある。また「副詞」は全く使われない場合もある。
【ルール2:全ての英文は「名詞化」あるいは「副詞化」することができる】
全ての英文(短くても長くても)は「名詞化」あるいは「副詞化」させることができ、「名詞化表現」は1つの名詞として、「副詞化表現」は1つの副詞として扱うことができる。
名詞化例:
My grandfather built the house.
(祖父がその家を建てました。)
↓
the house my grandfather built
(祖父が建てた家)
副詞化例:
They pay the fee.
(彼らは料金を払います。)
↓
unless they pay the fee
(彼らが料金を払わない限り)
【ルール3:「名詞化表現・副詞化表現」は、他の英文の「名詞・副詞」と入れ替え可能】
全ての英文は「名詞化」または「副詞化」することができるが、それらの「名詞化表現」または「副詞化表現」は、他の英文の「名詞」あるいは「副詞」の部分に代入することができる。このプロセスを練習することにより、「イメージ」と「音の並び」の結合が進み、瞬間英作力が身に付いていく。
名詞化表現の代入例:
This is a national treasure.
(これは国宝です。)
↕
This is the house my grandfather built.
(これは祖父が建てた家です。)
副詞化表現の代入例:
They can’t get in now.
(彼らは今入れません。)
↕
They can’t get in unless they pay the fee.
(彼らは料金を払わない限り入れません。)
「名詞化」は35種類、「副詞化」は13種類なので、全部で48種類しかない。でも、これらの代入法の技術を身に付けると、瞬間英作の能力は無限大に広がっていき、やがて思ったことを何でも瞬時に言える人に変身することが可能となる。
<瞬間の練習>
英語(他の言語も同じ)を話すとき、「瞬間」という重大要素がある。頭に思い描いたイメージ(言いたい内容)が瞬時に英語の音の並び(文章)に変換されない場合、すなわちじっくり考えないと英文が出来上がらないという状態では、英会話は成り立たないし、刻々と内容が変化する生きた会話にはついていけない。
音の並びに変換すべきイメージ
↓
じっくり考える
会話にならない
日本人が日本語を話すときは、言うまでもなくイメージが瞬時に日本語の音の並びに変換されるわけだが、英語を学ぶ場合も、瞬間英作力の習得が必須となる。
瞬間英作の力を身に付ける良い方法は、イメージが提供された瞬間から、英作し、音声化するまでの反応時間に制限を設けることだ。ここに着目したのが YouCanSpeak の学習メソッドだ。反応時間を最初から短く設定すると、能力を超えた学びになってしまうので、最初は考える時間を多めに設定し、徐々に短くしていくのが理想的である。
YCSの学びでは、最初は時間的制限なしで、すなわちじっくり考えながら英文を作る練習ができる。次に反応時間を7秒に設定し、5秒、3秒、そして最後は1秒まで縮めることができる。反応時間が1秒ということは、イメージが提供された瞬間から1秒以内に英作し、音声化することを意味する。すなわち文字通り瞬間英作の練習をすることになる。
もし1秒反応で2496の英文を全て正確に言うことができるようになれば、応用力も身に付くので、思ったことを瞬時に英語で言うことが可能になる。実際そのような人たちが多く現れている。
ペラペラ
英語スピーキング上達プログラムはこちら。
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