ドナルド・トランプ氏は、20日に行われる米大統領就任式で、第16代大統領のエイブラハム・リンカーンが就任時に使った聖書と自身が家庭で使っている聖書を用いて宣誓を行う。
リンカーンの聖書は、バラク・オバマ現大統領が2009年と13年の就任式で、リンカーン本人が1861年に使って以来、初めて使用した。副大統領となるマイク・ペンス氏は、第40代大統領のロナルド・レーガンの聖書を使って宣誓する。レーガンの聖書が使われるのは、本人が使用して以来、今回が初めて。
就任式で使う聖書の選択ついては、式典の副広報責任者であるアレックス・ストロモン氏が17日に確認した。
また、トランプ氏は、ニューヨークの教会学校初等科を1955年に卒業した際、母親から贈られた自身の家庭用聖書も宣誓に使用する。
トランプ氏は、選挙キャンペーンの動画の中でも、福音派の支持者らに謝意を表すため、母親から贈られたという自身の聖書(改訂標準訳=RSV)を使用している。出口調査によると、大統領選では、白人で福音派を自称する人のうち、81パーセントがトランプ氏に投票した。
「この聖書は、母からもらったものです。昔のことですが、もらったのはまさにこの聖書でした」「実際、母の直筆がここに残っています。母は自分の名前と住所を、私のために書いてくれました」と、トランプ氏は動画の中で述べている。
宣誓の際、2冊の聖書は閉じられ、それぞれを重ね合わせて使うという。
大統領や副大統領が宣誓する際、聖書に手を置いて誓うことは義務ではないが、初代大統領ジョージ・ワシントンの1789年の就任式以来の伝統となっている。米国の憲法は、大統領が職務を忠実に遂行し、憲法を堅持することを宣誓するよう義務付けているものの、聖書などの宗教的文書を用いることについては言及していない。
聖書博物館の編集者であるアリソン・ブラウン氏は、「ワシントンは、自分が行う全てのことが先例となることをはっきり自覚していたのです」と話している。
宣誓は、米連邦最高裁長官のジョン・ロバーツ氏によって執行される。
副大統領となるペンス氏は、レーガンが共和党に転向したことを評価しており、レーガンが用いたのと同じ歴代誌二7章14節を開いて宣誓する。
「ロナルド・レーガン大統領は、愛なる神と自国の善に信頼していました。レーガン大統領は国を変えましたが、それを通して世界を変えることになりました。歴史の流れの中で、レーガン時代は一時期に過ぎませんでしたが、彼が残した遺産は、当時の人々だけでなく、後代の人々にも影響を与え続けるでしょう」と、ペンス氏は話している。