国際基督教大学(ICU、東京都三鷹市)は、ICU同窓生で劇作家・演出家として活躍する平田オリザ氏協力のもと、同大の学生と共に製作した学生寮紹介ショートムービー「ICUノート」を公開した。4月に新学生寮2棟を新たに開寮するICUは、あらためて同大における学生寮の魅力を発信している。
ICUでは、学生寮を「教育寮」と位置付け、寮生が「対話」を通じて人権や多様性の尊重、責任の共有・分担を「もう1つの学びの場」と考え、現在学内にある8棟の教育寮のほとんどを2人1部屋として、自然に「対話」が生まれる仕様にしている。そんな寮の様子を伝えるのが、今回作られた「ICUノート」。単に寮の施設紹介ではなく、寮生活における学生の対話と成長を実感してもらうことを目的としている。
内容は、寮生活経験者の共感を呼ぶ「寮生活のあるあるネタ」の1つ、冷蔵庫の利用に関する問題を取り上げている。寮生たちの何気ない生活の一場面にも、異なる価値観や文化との出会いがあることや、これらの出会いと「対話」を通して、寮生たちが自身の先入観に気付いていく様子を表現した。
なお、このショートムービーを製作するに当たり、昨年6月から7月にかけて特別講座が開催された。平田氏から演劇理論の講義を受け、昨年のカンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田晃司監督からは撮影理論についても学んだ。
「ICUノート」は、その中で課題として製作した原案を基に、平田氏が脚本修正、監修を行い、第8回田辺・弁慶映画祭でグランプリを受賞した柴田啓佑氏を監督に迎えて、作品に仕上げた。出演している役者も、学内オーディションを経て選ばれたICUの学生で、リアルな「学生寮の日常」が映像化され、何気ない会話の中に大切なメッセージが散りばめられている。
平田氏は、ICUを1986年に卒業。大学在学中に劇団「青年団」を結成し、こまばアゴラ劇場を拠点に「現代口語演劇理論」を確立するなど、90年代以降の演劇界に強い影響を与えた。今回のショートムービーについて、「ICUがどういう学びの共同体を作っているのか、どんな対話が行われているのかをリアルに描いたものになったと思います」と述べ、4月に開寮予定の新学生寮においても、学生たちには、より多くの他者と、より多くの多様性と出会ってほしいと語った。
■ ICU学生寮紹介ショートムービー「ICUノート」