日本カトリック司教団は14日、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を四旬節第2金曜日に制定したと発表した。1回目は来年3月17日となり、その直前となる来年2月には、司教総会の中で性虐待被害者の癒やしと償いのためのミサもささげるという。
「性虐待被害者のための祈りと償いの日」は、カトリック教会の聖職者による性的虐待が世界的に明るみになったことを受け、ローマ教皇フランシスコが、全世界の司教団に向けて制定を指示していたもの。教皇フランシスコは、教皇庁に「児童を守るための委員会」を新設するなど、全世界のカトリック教会に対して、この問題に真摯(しんし)に向き合うよう促してきた。
日本カトリック司教団は、信者に宛てたメッセージの中で、教皇の意向として、▼教会のメンバーによって行われた子どもへの性的虐待の罪について、神からの赦(ゆる)しを願うこと、▼これらの重大な犯罪が、教会のメンバーによって行われたことを公に認めること、▼教会の権威者たちが、加害者を秘匿し、被害者の痛みを無視した罪について、神の赦しを願うこと――などを紹介している。
カトリック教会の聖職者による性的虐待は2002年、米ボストンの地元紙が、70人以上の聖職者たちが過去に信者の子どもたちに対して性的虐待を行い、教会が組織ぐるみで隠蔽(いんぺい)していたことをスクープしたことが発端となり、世界各地で明るみになった。
日本のカトリック教会もこれを受け、同年に調査を実施。日本でも同様の事件が存在することが判明し、同年6月に「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」を発表。翌03年2月には司教のための対応ガイドラインを発表し、カトリック中央協議会に「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」を設置するなどしてきた。
日本カトリック司教団は、信者に宛てたメッセージの中で、四旬節の金曜日は「回心にふさわしい日」であるとともに、象徴的な日だとし、「祈りと償い、被害者の痛みを学ぶ機会をつくってくださるようにお願いします」と要請。また、「私たち日本の司教は、聖職者、修道者、信徒のみなさんと共に、日本においてこのようなことが起こらないよう、重ねて自らを正し、教会の刷新に励んでいきたいと思います」とコメントしている。