カトリック海外開発機関(CAFOD)やティアファンド、ワールド・ビジョン、クリスチャン・エイドなどのキリスト教系の団体も加盟している英国の慈善団体包括組織「災害緊急委員会」(DEC)は、イエメンの危機に対する幅広いアピールを開始した。
イエメンでは約1年8カ月にわたり内戦が続いており、人口の4分の3近くに相当する1800万人以上の人々が人道支援を必要としており、700万人以上が次に食べる食事さえもままならない状態にあるという。
また、国連児童基金(ユニセフ)によると、220万人近くの子どもたちが急性の栄養失調状態にあり、そのうち46万2千人は重度、170万人は中度の栄養失調状態だという。食糧不足のために多くの子どもたちが既に死にかけている状態だとし、慈善団体「英国オックスファム」のマーク・ゴールドリング最高責任者は、イエメンが「ゆっくりと餓死させられている」と警告した。
国連によると、イエメンでは昨年3月に内戦が激化して以来、少なくとも市民4125人が死亡し、7207人が負傷している。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、サウジアラビア主導の連合軍による空爆により多くの人が死亡し、医療施設や市民の生活に必要なインフラを破壊したと非難している。
また、イエメンでは今年7月以降、洪水や地滑りなどの発生もあり、多くの民家が破壊され、状況は著しく悪化している。
CAFODのディレクターであるクリス・ベイン氏は、「私たちは、イエメンの人々、栄養失調によって発育を阻害されている子どもたち、戦争のためにホームレスとなっている人々、食糧や清潔で安全な水などの生活基本物資、また避難所を必要としている人々の苦しみに満ちた顔を見ています」と述べた。
DECに加盟する多くの慈善団体が、これまでもイエメン国内の何百万人もの人々に救命援助物資を届けているが、さらに多くの支援が切実に必要とされている。
ベイン氏は、「CAFODはイエメンにある提携団体を支援しています。そして、DECの加盟団体である私たちは、イエメンで強力に働きを展開し、最も大きな必要の中にあり、弱っている家族たちを助けるために配置されているDECの仲間たちを支えます」とコメント。「1つの家庭が毛布、食糧の入った小包、衛生用品、治療を受けるとき、尊厳と希望が回復させられます。私たちは苦難が終わることを望み、祈ります。イエメンの人々を私たちの思いと祈りの中に保ち続けましょう」と呼び掛けている。