テリーザ・メイ英首相は、自身のキリスト教信仰が、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐり、困難な決断を下す上で助けになっていることを、英タイムズ紙とのインタビューで明らかにした。
メイ首相は今、英国のEU離脱交渉のために、夜も安らかに眠ることができないという。しかし、ざっくばらんな個人インタビューの中で、神への信仰が自身の感性を正しい方向に導く助けになっていると語った。
英国国教会の聖職者である父を持つメイ首相は、自身の信仰やファッション、夫のフィリップ氏への深い愛情などについて忌憚(きたん)なく語った。
EU離脱は、「極めて困難」で複雑な問題だとし、メイ首相は「それは心をしっかり持つとか、正しいことを行うというレベルの問題ではありません」と語った。
一方、「信仰についていうなら、(その影響は)小さくないと思います。私は英国国教会の正会員ですし、そのことが私の仕事の背景にありますから」とコメントした。
「やろうとしていることをもう決めているから意固地になっている、というようなことではありません。課題について深く考え、直感的に悟り、根拠となるものに目を向け、議論をし尽くします。というのは、思わぬ問題が生じることも考慮しなければならないからです」
「けれどもそうした行程を全て経た後に、それが正しいと信じるなら、最終的には意を固めてそれを実行しなければなりません。しかし、そうすることが難しい場合もあります」
メイ首相は、教区牧師として働く父親から、務めに対する意識を幼い頃から教え込まれたという。
「私が生い立ちを通して学んだのは、仕えることの意味でした」とメイ首相。「父はいつもあちこちに出掛けては、いろいろな人を訪問していました。私が父と一緒に行くことはまれでしたが、父は帰宅すると訪問先であったことをいつも話してくれました」と続けた
「あるクリスマスの出来事を今でも覚えています。ひどい交通事故が起きて、村の2組のご家庭で家族が亡くなりました。教会のクリスマスの奉仕を終えた父は、クリスマスプレゼントを渡しにそのご家庭を訪問しました。その時、私は9歳くらいでしたが、私がようやく自分のプレゼントをもらえたのは夕方6時でした」
そして、メイ首相は、自身が導く保守党が「嫌われ者の政党」であるとする見解を一蹴し、「わが党に国民を養う経済力があることには、大きな意義があります」と述べた。