英国の欧州連合(EU)からの離脱の賛否を問う議論に批判的な立場に立つクリスチャン議員らが、議論が過熱する中、一致と「良き不一致」を呼び掛けている。
異なる政党のクリスチャン議員11人が出した一致を求める共同声明は、「より正義と希望に満ちた世界」のための投票を要求した。この声明は、クリスチャンたちの間の過熱した政治的議論のトーンを変え、「不一致を良しとする」ように勧める組織「クリスチャンズ・イン・ポリティクス」の幅広い活動の1つだ。
声明は「先週、私たちは違う文書を記し始めました」とし、「その文書は、EUからの離脱の賛否を問う国民投票の議論のトーンが変わることを要求するものです。そして、政治的決断を支配する典型的な政治演説から離れて、もっと親切で、深い枠組みを持つ投票のガイダンスによって決めてほしいと、キリスト教信仰を持つ投票者に訴えるものでした」としている。
「私たちの親愛なる友人、同僚であるジョー・コックス議員の悲劇的な、恐ろしい死は、実に今、国民投票の議論のトーンに目覚ましい変化を起こした」
「彼女の死の前、英国民が激しく揺さぶられるように感じた緊張は、国家的な一致の高まりによって部分的に和らげられました。悲しみにおける一致。衝撃における一致。分裂した政治への非難における一致」
声明には、離脱、残留の両派の側から多数の国会議員が署名している。自由民主党のティム・ファロン党首も声明に署名した1人だが、労働党のジョナサン・レイノルズ議員とステファン・ティム議員、また保守党のジョン・グレン議員とジェレミー・レフロイ議員と共にEU残留へ投票する。一方、民主統一党のジェフリー・ドナルドソン議員と保守党のデズモンド・スウェイン議員もまたその声明に署名しているが、2人はEU離脱を支持するために投票する。
労働党の関連組織の1つである「左翼のクリスチャン」の委員長で、英中部ステイリブリッジ・ハイド選挙区選出のレイノルズ氏は、移民と経済以外の議論の他の側面を認識することが重要だと語った。
レイノルズ氏は、「この国民投票は、英国がこれからどんな社会になってほしいのかという、より大きな問題に関するものだ」と英クリスチャントゥデイに話した。
EU残留派であるレイノルズ氏は、国民投票によって生じた分裂は投票後に癒やされることが可能だと付け加えた。
「どちらの側が勝つのであっても、結果は僅差だろう。他の立場の見解を尊重する必要がある。そして移民に関して本当に懸念がある。しかし、移民に関しては、(EU離脱派の)ナイジェル・ファラージ議員のように訴えることなく、議論をすることができる」
「以前、私たちはこのような難しい決断をこれまでしてきた。そして後に、私たちは癒やすことができることを期待している」
英国では23日、EUからの離脱の賛否を問う投票が行われ、既に投票が締め切られた。大勢は翌24日早朝(日本時間同日昼過ぎ)には判明する見通し。1975年以来、EUのメンバーシップに関して行われる初めての投票である。