英国アマゾンは、「インターフェイス・ウィーク」(異教徒間の交流を深める週間、2016年は11月13~20日)の一環として、クリスマス用のCMで、キリスト教とイスラム教の本物の聖職者を起用した。
牧師とイマム(イスラム教の指導者)が互いにプレゼントを贈り合う内容のCMは16日夜、英ITVで50年以上も続く人気連続テレビドラマ「コロネーション・ストリート」の中で放送され、EU離脱とドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利の後に宗教的緊張が高まる中で公開された。
CMには、英国国教会リトルベニス教区(ロンドン)の教区牧師であるゲイリー・ブラッドリー氏と、イングランド中部の都市レスターにあるオードバイ・イスラム教学校の校長であるズベイアー・ハッサム氏が出演している。CMで2人は、牧師の家でお茶を飲みながら、談笑に時を過ごす。別れた後で、相手が祈りのためにひざまずくときに膝を痛めないよう、それぞれ思いやりの心から、アマゾンで互いのために膝パッドを注文するというストーリーになっている。
ブラッドリー氏は英国クリスチャントゥデイに対して、このCMは「特に1年のこの時に、非常に重要なメッセージ」を持ったと述べた。ブラッドリー氏は、自身の教区には「あらゆる信仰の人々が同じ地域に共に住んでいて、私たちがお互いを理解し、仲良くすることが重要なのです」と述べた。
また、「これまで15年にわたって、異なる信仰の人々が彼らの信仰の指導者たちと共に、平和と一致のために努める必要に焦点を当てたクリスマス前の共同の礼拝を祝うために集まっています」と付け加えた。
2人は、このCMを撮影した後も定期的に会うことを計画しているという。ブラッドリー氏は、「私たちを結び合わせる牧会的、神学的関心を確固たるものとすることは、特にうれしい経験です」と語った。
アマゾンの広告ディレクターのシモン・モリス氏は、このCMが「事実に基づく、魅力的なストーリー」だと語った。CM撮影前には、英国国教会、英国イスラム協議会、クリスチャン・ムスリム・フォーラムに相談し、助言を求めたという。
「これは、無私と他の人々のことを考えることについてのストーリーです」。モリス氏は、「私たちは、ある人々にとってはこれ(CMの内容)が微妙なテーマに思われるかもしれないと分かっていたので、ストーリーをきちんと理解したかったのです」と述べた。「私たちは、どんな苦労も惜しみませんでした。CMの内容を発展させるのに数カ月かかりました。それを上手く表現し、動画の中で取り上げられている宗教に敬意を表したかったのです」
英国国教会の広報担当者は、「異なる宗教の間の対話を促進し、地域社会の結束力を強めることは、私たちの日々の務めです。この国の多くの地域で、英国国教会は異なる宗教間の対話の保証人であり、主催者です。この広告はその現実を反映しています」と述べた。
英国イスラム協議会事務局長のハルーン・カーン氏は、「アマゾンの動画は、英国中の多くのキリスト教徒とイスラム教徒の間に存在する強い友情の絆の例を強調する卓越した広告です。プレゼントを贈る象徴は、特に祝祭シーズンの期間に広告の力を増大させます」と述べた。
一方、アマゾンは最近、英BBCがアマゾンの配達員たちの搾取された労働環境を伝えた後、非難の的になっていた。BCCはテレビ番組「インサイド・アウト」で、アマゾンの代理配達員たちが配達予定に間に合わせるために危険な運転をする必要があったほど、極度のプレッシャーの下に置かれていたことや、一部の配達員たちが国の定める最低賃金以下の賃金しかもらっていなかったことなどを伝えていた。
■ 英国アマゾンのクリスマス用CM