「グローバル・リーダーシップ・サミット(GLS)2016」(グローバル・リーダーシップ・サミット・ジャパン実行委員会主催)の東京大会が23日、渋谷の東京ユニオンチャーチで開催された。既に名古屋、横浜、信州で開催され、最終日となる東京大会には、さまざまな国の幅広い年齢層の男女140人が参加した。世界で活躍する一流の講師陣たちのエネルギッシュでパワフルなメッセージを通して、職場や地域、教会などで影響力を持つリーダーへと成長するための学びの時を持った。
GLSは、現在100カ国以上で開催されているワールドワイドのプログラム。地域教会を含め、どの組織においても全てがリーダーにかかっていることを認め、リーダーのさらなる育成に取り組み、毎年サミットを通して多くのリーダーたちが大きな励ましとさらなる力を受けている。日本でも2008年から毎年開かれているが、東京が会場となるのは今年が初めて。
プログラムはセッション1~4で構成され、5人の卓越した講師による講演の映像が、スクリーンに映し出された。初めに登場したのは、世界中のリーダーを育成するためにGLSを始めた、米国シカゴのウィロークリーク・コミュニティー教会主任牧師のビル・ハイベルズ氏。これまでに各国で2022万人以上のリーダーをトレーニングしてきた。今回のセッションでは、「リーダーシップのレンズ」と題し、リーダーシップに必要となる4つのレンズについて話した。
ハイベルズ氏は、リーダーの仕事は「人を動かし続ける」ことであり、そのために必要となるのは、「情熱のレンズ」「砕けたレンズ」「パフォーマンスのレンズ」「レガシーのレンズ」だと語った。自分の情熱のバケツを常に満タンにし、神が大切にする人間を大切にし、チームのパフォーマンスを最大限に発揮するためのゴール設定の調整が、リーダーにとって不可欠であることを、自らの体験や聖書の言葉を引用しながら伝えた。
ハイベルズ氏は、全てのリーダーはリーダーシップのレガシーを残すとし、それを常に思い出さなければならないと述べ、「神をたたえる者」としてのレガシーが残されることの素晴らしさを語った。
セッション2では、世界最大の民間団体、ビル&メリンダ・ゲイツ基金共同会長のメリンダ・ゲイツ氏とハイベルズ氏との対談が行われた。「全ての生命は同等の価値を持つ」を信念に、世の中を慈善によって変えていこうというゲイツ氏。その生い立ちから、現在の活動に至るまでを語った。
「この活動は恵み」と話すゲイツ氏は、霊的な習慣として「1日の中で必ず沈黙の時を持つ」ことを明かした。また、現在最も力を入れているのが「女性と赤ちゃんの命を守る」ことを目的とした避妊の取り組み。ナイロビを訪れたとき、現地の女性から直接話を聞き、現状を学んだことから始めた活動だと述べ、聞くことと学ぶことの大切さを語った。また、訪れたところが実際に繁栄していくのが励みになると話し、社会の中で最も困難な問題も慈善によって解決できると力を込めた。
セッション3の講師は、シンクタンク、コンサルティング機関「タレントスマート」主宰・共同創立者のトラヴィス・ブラッドベリー氏。CSPP(カリフォルニア臨床心理学大学院)で臨床心理学および産業・組織心理学の博士号を取得しているブラッドベリー氏は、「EQ・心の知能指数」について語った。
EQとは、自分の感情をコントロールする知能のこと。ブラッドベリー氏は「IQではなくEQが成功を導き、誰でもEQを高めることができる」と話し、EQを高める3つの特効薬として、「ストレスの最適化」「健康的睡眠の向上」「カフェイン摂取の制限」を提案した。
セッション4には、毎年2万5千人以上のビジネスマンを指導するリーダーシップのエキスパート、ジョン・マックスウェル氏と、救世軍士官擁護者のダニエラ・ストリックランド氏が登場した。
マックスウェル氏は、影響力のあるリーダーは、人々の人生の価値を高めてくれると話す。そのために、リーダーは常に意識的でなければならないと述べ、強い意識を持って生きるために、「人の価値を認める」「人の価値をどう高めるか」「人の価値を高める方法を探す」「人の価値を高めるよう行動する」「人の価値を高めるよう励ます」といったことを常に考えることを提案した。また、それらは全て4福音書でのイエス・キリストの働きであり、意識的に人々の価値を高めるリーダーシップとは、イエス・キリストに従っていくことだと語った。
ストリックランド氏は、士師記6章11~24節のリーダーらしくないリーダー、ギデオンの話を通して、神の介入を受けたリーダーこそが、一般のリーダーにはない霊的な権威を持っていると伝えた。「あなたが持っているもの」を神は必要とされていると話し、外から聞こえてくる「○○だからできない」という声ではなく、神の召しを聞くことを勧めた。
ストリックランド氏は、「平和の福音を告げる準備を履物としなさい」(エフェソ6:15)を引用し、「私たちが人々のシャローム(平和)の中に入っていけるよう、神に介入してもらいましょう。そうすれば、それぞれの置かれた場所で必ず輝くことができる」と励ました。
この日は、5人の講演者の話をもとに、パネルディスカッションも行われた。パネラーとして登壇したのは、ダブルオークロスチャーチ東京の木村竜太牧師、ニューホープ東京の加藤以幸副牧師、マルチメディア・ミニストリーを展開する7MEDIAのアンディ・ゲーム氏。チャーチ・オブ・ゴッド川崎キリスト教会の古波津真琴牧師が進行役を務めた。
パネラーたちは、ハイベルズ氏の「4つのレンズ」の話から、どのような「レガシーのレンズ」や「情熱のレンズ」を持ち、その中でどのような「砕かれたレンズ」を負ったかについて、また、EQを高める特効薬の「ストレスの最適化」の具体的方法や、人の価値を高めるために何を意識しているか、その意識を邪魔するものは何か、などについて語り合った。
最後にサミット全体の司会を務めた古波津牧師が、「地域社会こそが世界の希望。このサミットを通して、自分たちが置かれている教会の働きを最大限に高めて、1つの教会が世界にインパクトを与えることができるよう、同時に一人一人も、世界にインパクトが与えられることを信じています。どのような場所に置かれても、リーダーシップをとる可能性を持つ私たちです。私たちの存在が影響力を持っていることを信じていきましょう」と結び、来年の再会を約束した。