「今こそ母なる地球の受託者たちとして前へ進み行動する時です。共に、お互いの進行を支え合うことによって、私たちはさらに遠くへ、そしてさらに速く行くことができるのです」と「COP22諸宗教間声明」には書かれている。これは、7日からモロッコのマラケシュで開かれている国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の第22回締約国会議(COP22)で提言活動に関わっている宗教団体が作成した文書である。
18日まで開かれているこの気候会議は、パリ協定が発効するという歴史的な瞬間に行われるもの。この協定は、温室効果ガスを削減し、気候の影響に対するより高い強靭(きょうじん)さを築くための普遍的な枠組みを生み出した、前例のない地球規模の合意である。宗教団体はパリ協定を世界の多くの地域で現実のものとするために、懸命に働き続けている。
「化石燃料への投資から意図的に引き揚げなければならないとともに、私たちは共に立ち、ソブリン・ウェルス・ファンド(主権国家資産ファンド)や公的部門年金基金を気候変動問題の解決へと集団的に転換させるよう呼び掛けます」と、この声明文には記されている。
COP22で宗教団体が積極的に提言しているのは、以下の項目である。
- 地球の気温上昇を産業革命以前から1・5度より下に制限するという目標に沿って、諸国家が排出量を削減するための誓約を急速に増加させること。
- ソブリン・ウェルス・ファンド(主権国家資産ファンド)や公的部門年金基金による、化石燃料から再生可能エネルギーや他の解決策への集団的な転換。
- エネルギーの貧困を再生可能エネルギーで終わらせ、人的および生態系のさらに広い適応をもたらすための、グローバルな金融の流れの増大。とりわけ損失と被害、技術移転と能力構築を補償するため。
- 政府の政策に挑戦するために超法規的な裁判を利用する貿易協定の中における紛争メカニズムに対するより厳しい統制。
ソーシャルメディア上で大勢の人がメッセージを一斉に発信するサンダークラップを活用したアピール行動が4日に行われ、パリ協定の発効を祝うとともに、この諸宗教間の声明に署名するよう人々に求めた。
地球を保護するために多くの人々がすでに自らの優先順位やライフスタイルを変えつつあると、世界教会協議会総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師は述べた。「気候変動をめぐる正義と平和の巡礼に、本当にたくさんの人たちが、物理的あるいは象徴的に、私たちと共にいてくださっている」と同総幹事は話した。「貧しい人たち、すなわち、排出量の助長が最も少ないにもかかわらず、最も多く被害を受けている人たちのために正義であることを行う潜在的な力が私たちにはあると、私たちは信じている。創造主である神によって私たちには、この責任とともに、変革を起こす能力をも与えられていると、私たちは信じている」
ノーベル平和賞受賞者で南部アフリカ聖公会のデズモンド・ツツ元大主教は、この声明文のウェブサイトにリンクされた2013年4月のユーチューブの動画で、「投資引き揚げ運動は、南アフリカをアパルトヘイトから解放するのに鍵となる役割を担った」と語っている。さらに、気候変動もアパルトヘイトと同じように「もちろん非常に道義的な問題だ」として、「ここアフリカでは、人々は気候変動を引き起こすために何もしていないのに、人々は干ばつの悪化や食糧価格の高騰、洪水などに苦しんでいる」と訴え、この問題に世界が共に取り組むよう協力を呼び掛けている。