【CJC】バチカン(ローマ教皇庁)が1951年に断交した中国との文化交流に力を入れている。中国との関係改善を目指し、訪中に意欲を示している教皇フランシスコの意向を受けてのものとみられる。司教の任命方法で双方が年内に合意する可能性があるとも観測されている。
歴代の教皇が避暑地として使用してきたローマ郊外の「夏の離宮」カステルガンドルフォの宮殿の居室部分が22日から史上初めて一般公開された。これに先立ち21日に開かれた宮殿公開記念式典では、中国の書と音楽が紹介された。バチカン権威筋によると、中国の文化機関と交流合意を結んだバチカン美術館が中国の芸術家と代表団を式典に招待した。
式典では、中国の女性楽団が民族音楽を演奏する中、中国人画家・書家の崔自黙さん(49)が「仁愛」と大書した。数日前に教皇フランシスコと接見した崔さんは「中国とバチカンの関係の幕開けだ」と述べた。
バチカン美術館のアントニオ・パオルッチ館長は毎日新聞などの取材に「中国とは雪解けが起きている。中国人芸術家の式典参加は親善の印。教皇は(在位中に)中国との友好関係を樹立したいと望んでいる」とバチカンの対中接近を説明した。
バチカンで9月末に開かれた地球環境保全に関する学術シンポジウムには、中国の関係団体が参加している。一方、中国では、バチカン・システィーナ礼拝堂の天井画を描いたミケランジェロなどの作品の展覧会を開催する計画が進んでいるという。
中国のカトリック教会は政府公認の中国天主教愛国会と教皇に忠誠を誓う非公認の地下教会に分かれている。
バチカンと中国政府は作業部会を設置し、受け入れ可能な司教任命方法について議論を重ねてきた。ロイター通信は21日、双方が今月末までに合意の取りまとめを目指す見通しだと報じている。