米非営利団体「フェイス・カウンツ」の最新の調査研究によると、米国の宗教には年間1兆2千億ドル(約120兆円)規模の価値があるという。
米ジョージタウン大学のブライアン・グリム准教授と、米ニュージアム研究所のメリッサ・グリム研究員による調査研究「宗教の米国社会への社会経済的貢献:実証的分析」は、全米の諸宗教の34万4千の地域集会(教会、寺院など)、宗教法人、宗教関係のビジネスの経済的影響を分析する内容となっている。
宗教の米国への経済的貢献全体は、世界の国別経済ランキングの15位と等しく、アップルやアマゾン、グーグルを含む、米国のテクノロジー企業群の上位10社の歳入を合計した額以上になる。
同研究はまた、約12万の地域集会には、所蔵されている絵画や建築物を見ようと多くの人が訪れ、同じ期間に米国内の博物館に訪れた訪問客の4倍近い数になるという。
「私たちは初めて、宗教法人、信仰に基づく慈善団体、信仰に触発されたビジネスの私たちの国への貢献を特定することができました」とグリム博士。「宗教は米国社会に積極的な影響を与えていないと考える人が増えている時代に、この集計結果は宗教の米国社会への良い影響をはっきりと目に見える形で気づかせてくれます。毎日、個々の信者と信仰の諸団体は、地域の信仰者の集まり、信仰に基づく慈善団体、宗教に触発されたビジネスに関わる人物、団体として、静かに地域社会に仕えているのです」と語った。
ここ15年間で、諸宗教の地域集会が社会復帰プログラムや慈善のために費やす金額は3倍に増加した。これらの地域集会や宗教的慈善団体が取り組む社会問題には、アルコール依存症と薬物依存症からの回復、退役軍人とその家族のサポート、HIV・エイズに関するプログラム、失業者のサポートと技術訓練などが含まれている。
フェイス・カウンツは、各宗教の立場を認めつつ、信仰の価値の促進を目指す団体だ。広報担当のケリー・トループ氏は、「全米の多様な信仰共同体と共に働いた経験から、私たちは個々の宗教の間にあるさまざまな違いにもかかわらず、私たちを1つにする共通の価値の方がもっと多いことを知っています。この研究は、信仰がまだ私たちの経済と社会の要であり、私たちが信仰の価値を祝い、促進するために、積極的に共に働いている事実を示しているのです」と述べた。