現在世界で最も速く成長している宗教はイスラム教で、現在のペースで成長すると、2070年にはイスラム教人口が史上初めてキリスト教人口と並ぶという。
米調査機関「ピュー研究所」は、若者の数や宗教間の改宗者の数などを考慮した上で、イスラム教が今後40年間に、他のどの宗教よりもより速く成長すると予測している。そして、世界人口の統計上の傾向が今後も継続すれば、2050年までに全世界におけるイスラム教人口は28億人となり、世界人口の30%に迫るとみられ、キリスト教人口の29億人、31%にかなり近づく。
さらに、この2050年までの傾向が続く場合、2070年にはイスラム教徒、キリスト教徒の世界人口に対する割合は32・3%で同じになる。また、2100年には、イスラム教人口が35%で、キリスト教人口34%よりも1%上回るという。
ピュー研究所は、仏教を除く全ての主要宗教で、今後数十年間に信者数が増加すると予測している。驚くべきことに、英国では世俗化傾向が進むが、無神論者、不可知論者、また宗教を信じない人の割合は、世界規模では減少するとみられる。
しかし、宗教を信じない人の数自体は確実に増える。宗教を信じる人の増加ペースの方がはるかに速いため、無宗教人口は割合としては減るというのに過ぎない。
人口統計上の有意な変化は、特に英国において顕著だ。2010年にはキリスト教が64・3%、イスラム教が4・8%、無宗教が28・8%だったのに対し、2050年には、キリスト教人口は半数を割り込み、45・4%にまで減少するとみられる。そして、10人に1人以上となる11・3%がイスラム教、ほぼ10人に4人の38・9%が無宗教となる予測している。
ピュー研究所は今回、仏教、キリスト教、ヒンズー教、ユダヤ教、イスラム教、伝統宗教、その他の宗教、無宗教の8つに分類し、それぞれの規模と割合が、2010年から2050年にかけてどう変化するかを予測した。
これまでに宗教の未来に関する多くの予測が出されているが、今回の予測は、年齢、出生数、死亡数、移住数、全世界での多種の宗教間での改宗についてなど、人口統計によるデータを使った初めてのものだという。
この予測によると、現在の傾向が続く場合、2050年までに欧州に住む人のうち10人に1人がイスラム教徒となる。また、インドは依然ヒンズー教徒が多数を占めると予測されるが、インドネシアを超えて世界で最もイスラム教徒が多い国になるとみられる。
米国では、キリスト教人口が全人口比で、2010年の4分の3から、2050年には3分の2にまで減少するとみられる。また、同国のユダヤ教人口は2010年にはキリスト教以外で最大の割合を占めていたが、2050年にはユダヤ教徒よりもイスラム教徒のほうがより多くなると予測されている。
さらに、2050年には、世界のキリスト教徒の4人に1人が、アフリカ・サハラ砂漠以南に在住すると予測されている。仏教人口は、信者数の多い中国、タイ、日本などで少子高齢化が進むため、大きく増加するわけではないが、それでも安定して存在するとしている。
ユダヤ教は、今回の調査でカテゴリが作られた単一宗教としては最も小さな宗教。2010年のユダヤ教人口は1400万人だが、2050年にはわずかに増加して約1600万人になると予測されている。世界人口に占める割合は0・2%と変わらないと予測されている。