英国のオックスフォード大学などに伝わる作者不詳の「聖アポリナーレ教会のレクツィオ」の演奏会が9月29日(木)午後7時から、東京都新宿区にある日本福音ルーテル東京教会で開催される。日本初の復活演奏会となる。
「聖アポリナーレ教会のレクツィオ」は、カトリック教会の聖週間(復活祭前日までの1週間)にミサで朗唱された旧約聖書「哀歌」に基づく作品。聖週間に朗唱される「哀歌」は、フランソワ・クープラン(1668~1733)の「ルソン・ド・テネブレ」が有名だが、今回演奏されるのは、古くよりオックスフォード大学クライストチャーチおよび大英図書館が所蔵する作者不詳の手稿譜による作品だ。
聖アポリナーレ教会は、イタリアのエミリア・ロマーニャ州ラヴェンナにある教会。そこで演奏された作品の楽譜が、イギリスに伝わり、今回、日本のソプラノ歌手・山内房子の目に留まり、日本での復活演奏となった。イタリアからイギリス、そして日本と、国際的な運命をたどった作品は、歴史的なロマンを感じさせる。
「誰にも知られることなく時を経たことが気の毒に思えるほど美しい作品」と評し、復活演奏会を企画した山内房子は、日本の古楽界を牽引してきたベテラン歌手でもある。今回の演奏会に当たり、作曲者が不明なために、音にして紹介される機会のない作品が多い中、「聖アポリナーレ教会のレクツィオ」は、バイオリンの杉田せつ子、廣海史帆、チェロの懸田貴嗣、オルガンの桒形亜樹子の協力を得て、紙の上の音符から音楽となったと話す。
演奏会では、作者不詳の第1日第1のレクツィオ、第2日第1のレクツィオ、第3日第1のレクツィオ、第3日第3のレクツィオの他にも、フローベルガーの「リチュカーレ」、フレスコバルディの「トッカータ」の演奏も予定され、バロック音楽ファンには楽しみなプログラムとなっている。
日時:9月29日(木)午後7時
場所:日本福音ルーテル東京教会(住所:新宿区大久保1-14-14)
費用:全席自由4000円
予約・問い合わせ:オフィスアルシュ(電話:03・3565・6771、ウェブサイト)
※チケット取り扱いは、東京文化会館チケットサービス(電話:03・5685・0650)、または東京古楽器センター(電話:03・3952・5515)、イープラス。