7月26日からポーランド南部の都市クラクフで開催されていたカトリック教会の「第31回世界青年の日(ワールドユースデー、WYD)クラクフ大会」は7月31日、教皇フランシスコによる閉会ミサをもって終了した。バチカン放送局日本語版が同日に報じた。
クラクフ郊外の「いつくしみのキャンパス」で執り行われた閉会ミサには、ポーランド警察の発表によれば、およそ150万人が参加した。教皇はこのミサで、イエスに信頼し、世界を変えようと呼び掛け、正義と平和に満ちた社会の構築に参加するよう、若者たちを励ました。
ミサの終わりに教皇は、次回、2019年のWYD国際大会の開催国として、パナマの名を発表した。そして、教皇は若者たちが神のいつくしみの使徒となり、証し人となれるよう聖霊の照らしと支えを、聖母の取り次ぎに託して祈った。
一方、バチカン放送局英語版は7月31日、WYDの最後の演説で教皇が「私がパナマにいることになるかどうかは分からないが、ペトロがいることになるだろうということは皆さんに保証できる」と述べたと報じた。
同英語版のリディア・オケイン記者は、「クラクフへの教皇訪問の見どころを振り返る」という見出しのついた31日付の記事で、教皇フランシスコがワールドユースデーに出席し、アウシュビッツにあるナチスのユダヤ人強制収容所を訪問し、ポーランドのチェンストホバにあるヤスナグラ修道院へ旅をした5日間のポーランド訪問とそれらについての同記者自身の印象を記した。
「(WYDの主な会場となった)クラクフのキャンパス・ミゼリコルディアとブロニア公園は今やがらんとしているが、しかし教皇フランシスコの掛け声はこれら両方の場に残っている。夢は大きく、危険を冒すことを恐れずに、失望しないように、自分の楽なソファーから立ち上がって人生の印を残すようにという励ましである」と、オケイン記者は記した。
「教皇は、自身の先人である聖ヨハネ・パウロ2世の愛する故郷であるポーランドに1つのメッセージを持ってやってきた。世界が深い苦しみと恐ろしい残酷さを経験しつつあるときに、ここにいた若い人たちのための、希望といつくしみ、そして憐れみのメッセージである」と、同記者は書いた。
オケイン記者は、これは若い巡礼者たちが神の愛という1つの共通のものをもって世界中から共に集まるのを祝うための訪問であったが、それは忘れられないイメージを伴う司牧訪問でもあったと記した。
「アウシュビッツの悪名高い門を通った教皇のゆっくりとした荘厳な歩みと、聖マクシミリアン・コルベの独房での自身の静かな祈りは、これから何年も持続するだろう。同じように、チェンストホバの黒いマドンナに敬意を表すための自身の感情的な訪問もそうである」と、オケイン記者は書いた。
「けれども、ブローニア公園やキャンパス・ミゼリコルディアで世界中からの他の巡礼者たちと熱心に出会う青年たちの忘れられない場面のように、涙があるところには喜びもあり得る。クラクフを通って電車という公共の交通機関に再び乗って前向きにわくわくしておられるように見えた教皇フランシスコの喜ぶ姿もあれば、この都市にある小児科病院の少女が教皇の絵を描いて、文字通り教皇の心を溶かしたこともあった」
この青年大会の終わりのミサで、教皇フランシスコは若い巡礼者たちに対し、「ワールドユースデーはあなたがたの家庭で今日始まり、そして明日も続くのです。なぜならイエスはそこであなたにお会いになることを願っておられるからです」と語った。
「ここクラクフではっきりと明らかなのは、青年たちはその課題に対する備えをもってそれをいとわないということだ」とオケイン記者は報じた。「彼らは、立ち上がって自分の信仰を誇りを持って表してもよいのだということを自国の人々に示したいのである。彼らは、教会には喜ばしい側面があることを示したいのであり、そして彼らはちょうどワールドユースデーのここと同じようにその光を透き通させたいのだ。彼らは、イエスが生きておられ、そして彼のいつくしみが決して終わることはないと、自国に帰って自分たちの共同体に伝えたいのだ」
一方、英クリスチャントゥデイは7月28日、現地からの報告記事の冒頭で、WYDの様子を次のように伝えていた。
「ここクラクフでは、カトリックの『ワールドユースデー』で、その雰囲気は電撃的だ。世界のほぼ各国から色とりどりの国旗の海が、100万人を超える若者たちが文化の違いを超えた架け橋を築き、自分たちの信仰を共に祝おうと、世界各地から旅をしてきたことを鮮やかに思い起こさせる役目を果たしている。無数のコンサートやスポーツ勝ち抜き大会、研究集会といった出し物で歓喜の顔に満ちている。教皇フランシスコ自身によって行われる予定のミサや演説の時間と場所は、みんなの心に刻まれている」
「『ラウダート・シ』世代:なぜ『ワールドユースデー』が私に未来への希望を与えてくれるのか」という見出しによるこの記事で、同紙のトマス・インスア記者は、教皇フランシスコが環境問題で回心を呼び掛けようと昨年6月に発表した回勅『ラウダート・シ』について、「クラクフでこの2、3日にわたって他の若者たちと交わした会話で私があらためて確信したのは、これはラウダート・シの世代が分かるメッセージだということであり、それゆえに未来はより明るく見える」と記した。
なお、WYDの詳細は写真入りで日本語のフェイスブックでも伝えられた。また、『回勅 ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に』が8月1日、カトリック中央協議会から書籍として出版された(アマゾンでは8月2日発売)。