世界の正教会の指導者らが、中東のキリスト教徒と迫害されている他の少数派のための支援を呼び掛けた。
ギリシャのクレタ島で約1週間にわたって開催された正教会聖大会議の最後に、世界中から集まった正教会の総主教、主教らは、「宗教という油は傷を癒やすために使われなければならない。軍事衝突を再び燃え上がらせるためであってはならない」と語った。
「正教会は、軍事的暴力の拡張、迫害、宗教的少数派の排除と殺害、改宗の強制、難民の人身売買、拉致、拷問、嫌悪すべき処刑を明白に非難する」
「正教会は、教会、宗教的シンボル、文化遺産の破壊を弾劾する。特に、正教会は中東のキリスト教徒と全ての迫害されている少数派についての深い懸念を表明する」
「正教会は、その地域の政府に、現地の正教会、また他のキリスト教徒、等しい権利を持つ市民として、その国に留まるという譲れない権利を持つ全住民を保護するように要求する。われわれの会議は、全ての当事者に、中東と戦闘が続行する所はどこであっても、軍事衝突を終結させるために、そして追放させられた全ての者たちが家に戻れるようにするように、直ちに組織的な尽力をするように訴える」
そして、正教会の指導者らは、人々を回心に導く召命をこのように強調した。「現代の世俗化した社会における神の民への再伝道、そしてまだキリストを知らない者たちへの伝道は、教会にとっての絶え間のない義務である」
また、他の諸教会との対話への取り組みを明言した。「この方法において、キリスト教世界の他の諸教会は、正教会の伝統の真正性、教父たちの教えの価値、典礼的生活、正教会の信仰をより正確に知るようになった」
一方、この会議は、キリスト教の2千年の歴史を象徴するような一種の分裂によって、損なわれてしまった。
会議は、コンスタンディヌーポリ全地総主教バルソロメオス1世によって導かれた。バルソロメオス1世は、聖公会のカンタベリー大主教やローマ教皇フランシスコら、正教会以外の教会指導者らと親しい関係を世界規模で築いてきた。
しかし、会議への参加が予定されていた14の正教会のうち4教会が出席を見送った。会議の主要な優先事項が、正教会の一致を宣言することであったことを考えると、これは落胆の目で捉えられた。
欠席したのは、ロシア正教会、ジョージア正教会、ブルガリア正教会、アンティオキア総主教庁であった。8500万人という聖公会の全世界の会員数のさらに2倍近い規模の会員を有するロシア正教会では、モスクワ総主教キリルが、会議のための用意が不適切であったと訴えるなどした。
正教会聖大会議は今後、6、7年ごとに開催される予定。