鳥取県の社会福祉施設「鹿野かちみ園」(鳥取市鹿野町今市)で、入居する障がいのある女性らが、最長20年にわたり、食事などの一部の時間を除き、施錠された部屋に閉じ込められていたことが明らかになった。鹿野かちみ園は、入居者の家族から同意は得ていたとしているが、鳥取県は虐待と判断したという。産経新聞などが伝えた。
同紙によると、虐待を受けていたのは、知的障がいのある40代の女性2人と、行動障がいのある60代の女性1人。このうち、60代の女性は、他の入居者の小物などを食べる恐れがあるとして、2005年に入居して以来、食事や入浴、日中に行われる生活訓練などを除き、1日約10時間、部屋を施錠し出られないようにして閉じ込めていたという。
40代の女性2人は、他の入居者への暴力行為を予防するためとして、1日14時間〜6時間半、トイレや水栓がない部屋に閉じ込められていた。毎日新聞によると、1人は約7年間、また別の1人は約3年間、閉じ込められていたという。一方、1人の女性については、ここ数年暴力行為が落ち着いていたが、閉じ込め行為が続けられていたという。
鹿野かちみ園は3人について、入所時また3カ月に1度、家族から施錠について同意を得ていたとしているが、同園を運営する鳥取県厚生事業団の山本光範理事長は「利用者と保護者の方に多大な不安と迷惑をかけ、おわび申し上げます」(毎日新聞)と謝罪した。
毎日新聞と時事通信によると、鹿野かちみ園に出入りのある女性が5月10日、鳥取県東部福祉保健事務所(鳥取市)に通報。虐待の疑いがあるとして、同保健事務所と鳥取市が共同で調査を行い、発覚した。