教皇フランシスコは15日、聖ペトロ大聖堂で行われた聖霊降臨の主日のためのミサで、「わたしは、あなたがたをみなしごにはしておかない」(ヨハネによる福音書14章18節)という聖句について説教を行った。バチカン放送局英語版が15日に報じた。
聖パウロのローマの信徒への手紙(8章14、15節)からの第一朗読から始めた教皇は、「ここに私は自らの関係が新しくされるのを見るのです。すなわち、キリストの贖(あがな)いの働きと聖霊の賜物のおかげで、神の父性が私たちの中であらためて確立されるのです」と述べた。
同教皇は続けた。「聖霊は父によって私たちに与えられ、私たちを父へと導き戻すのです。救いの働きの全体は『再生』への導きであり、その中で神の父性が、御子と聖霊の賜物を通じて、私たちが陥っていたみなしごの状態から私たちを自由にするのです」
この世界では、孤独や「神から自由」になりたいという願望、あるいは他者を兄弟姉妹と見なすことの難しさといった、「みなしごであるしるし」があまりにも多いと、教皇フランシスコは述べた。
しかし、教皇は「神の子たちであることはこれと正反対であり、私たちの原初的な使命なのです―私たちは神の子たちとなるように創られたのであり、それは私たちのDNAの中にあるのです」と語った。ただ、この関係は、罪によって台無しにされたのであり、神の独り子であるイエスの死と復活を通じてのみ、その関係が生まれ変わることができる。聖霊が「ほとばしる大きな恵みのように人類に注がれた」のは、まさに十字架におけるイエスの死ゆえであると、教皇は述べた。
私たちをみなしごにはしておかないというイエスの約束は、聖霊降臨の主日におけるマリアが持つ「母としての存在」を私たちに思い起こさせると、教皇は語った。「イエスの母は祈りのうちに集められた弟子たちの共同体と共にあります。彼女は御子の生きた記憶であり、聖霊の生きた祈りなのです。彼女は教会の母であります」
教皇は、聖霊の賜物によって私たちは友愛の新たな体験へと入ることを許され、お互いを『兄弟姉妹として』見ることができ、『その兄弟姉妹の違いのおかげで、私たちは、父であり兄弟であるというこの固有さを分かち合うことの喜びや驚嘆を増すことができる』」と語り、説教を結んだ。
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