Deeper! 心の痛みから解放されますように!
クスマン典子さん
私の母教会、サドルバックでは、精神障害のある人やその家族のためのカンファレンスが絶えない。それは、主任牧師のリック・ウォレン氏の息子、マシューが2年前、精神障害に長く病んだ末に自死したことが大きなきっかけだった。日本でもいじめの問題、引きこもりの問題は後を絶たない。
その大きなグローバルモンスターに、主の御言葉を武器に立ち向かう女性と出会った。米カリフォルニア州在住のクスマン典子さんだ。その体験談は、華奢(きゃしゃ)な体で、日差しの強いカリフォルニアにいながら色白な彼女の外見からは、到底信じられない内容だった。
2010年、高速で自殺志願者の車に全速力で突っ込まれて死にかけ、手術すること11回。心身がボロボロになり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされ、引きこもりになった。「でも、神様の奇跡的な癒やしの力で、2015年春、完全に心が癒やされたんです!」
山形県生まれ。幼少期は田んぼに囲まれた田舎で育ち、女の子なのに近所のガキ大将。弟とチャンバラごっこをしたり、秘密基地を作ったり、ザリガニや虫取りをしながら真っ黒になって外で走り回っていた。中学から高校、大学では全く勉強に興味がなく、「ギリギリ卒業できました」。
当時の英語の先生が「もし典子が英語を話せるような奇跡が起こったら、逆立ちして校庭を一周する」と豪語するほどだったという。筆者も全く同じだったので、親しみが湧く。その後、典子さんはお菓子づくりの専修学校に進み、スイス、フランスで講習を受け、修行の後、東京で専修学校の和菓子教師になる。
高校生の時、親友のひろ子さんが突然クリスチャンになり「神は愛」としか言わなくなった。そのひろ子さんが19歳で天に召されたときに見せた、愛と平安と希望溢れる生き様に、大きな衝撃を受けた。その体験が大きなきっかけとなり、その後に出会ったクリスチャンたちの愛、そして何よりも「聖霊様の導き」によってクリスチャンになったという。
米国銀行の海外駐在員だった主人と韓国に住み、夜中娘に授乳していたとき、突然聖霊が降り、雷で打たれたようになって、十字架のイエスの幻が見えたという。「イエス様を十字架にかけたのは自分だ」と心から受け入れ、悔い改めた。
「イエス様から『娘よ、私はあなたを愛している。あなたの罪は赦(ゆる)された。安心して行きなさい』というお言葉まで頂きました。気付いたときには、娘は熟睡、私は2時間も号泣していました」
その翌週から家庭集会を始めた。「神様は短い間に10人の方々を救われたのみならず、皆さんが家庭集会をご自分のお宅で持たれるまでにしてくださいました。韓国のクリスチャンたちの深い愛と祈りのおかげだと信じます」。その後、香港、シカゴ、東京、シアトルでさまざまな伝道活動を行い、神学校を卒業し牧師になった。
事故後、計画したわけではなかったが、昨年6月、日本で10の教会や神学校で計12回のメッセージを担当した。今年は9月から10月にかけて、結成70周年を迎える教会グループから記念縦断伝道集会の講師として、東北、関東、関西、中部、九州の10の教会での奉仕に招かれている。同時に各地でカウンセリングや学びの機会も持つ予定だ。「何ということでしょう。全て神様の恵みです」と主をたたえた。
「昨年さまざまな場所でお話しをさせていただいて実感したのは、日本人は心痛める人、うつや引きこもりの方々があまりにも多いという事実です。現在は個々のカウンセラーをしていますが、引きこもりの権威である日本人クリスチャン精神科医の先生と共に、今後どのように神様が日本人の心の癒やしを進めてくださるか、御心を求めて祈り合っています。全ての人々が心の痛みから解放され、日本の国が、イエス様を信じて神様の平安と愛の溢れる人々で満たされることを信じ祈っています」
「あなたがたは恥に代えて、二倍のものを受ける。人々は侮辱に代えて、その分け前に喜び歌う。それゆえ、その国で二倍のものを所有し、とこしえの喜びが彼らのものとなる」(イザヤ61:7)
主の御声を聞き、まっすぐに従っていくことの喜びとその美しさを放つ典子さんに触れたとき、彼女を好きにならずにはいられない。
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