教皇フランシスコは16日、ヨーロッパの難民危機の最前線にいる人々のための支援と連帯を示すため、ギリシャのレスボス島を訪問する。バチカン放送局英語版が7日、報じた。
声明によると教皇フランシスコは、東方正教会のコンスタンディヌーポリ全地総主教、バルソロメオ1世とギリシャのプロコピス・パブロプロス大統領からの招待を受け、同国を訪問する。教皇は、コンスタンディヌーポリ全地総主教とギリシャ正教会の首座主教でアテネおよび全ギリシャ大主教のイエロニモス2世と共に同島の難民と会う。また、同島にある難民施設をコンスタンディヌーポリ全地総主教やアテネのカトリック大司教らと共に訪問する予定だ。
過去1年間に100万人の難民がギリシャへやってきたが、そのうち何万人もの人たちがシリアの戦争から逃れるなどしてレスボス島に殺到してきた。「(教皇訪問のタイミングは)そこにいる難民にとってはとりわけ微妙だ。なぜなら、欧州連合が論争中の計画の下で、隣国のトルコに新しくやって来た人たちを今月に入って帰還させ始めたからだ」と、バチカン放送局は記している。
教皇フランシスコは苦難に「極めて注意深い」
バチカン報道官のフェデリコ・ロンバルディ神父(イエズス会)はバチカン放送局に対し、教皇フランシスコは常に「とりわけ、苦難の中で私たちの連帯や助けを必要としている人々がいるとき、世界のあらゆる緊急事態に極めて注意深い」と語った。
ロンバルディ神父は、教皇フランシスコが2013年、教皇に選出されてからわずか2、3カ月後に、初の訪問先としてイタリアのランペドゥーザ島を訪れたことに言及した。この島もまた何十万人もの移民を受け入れていた。ロンバルディ神父によると、その訪問で教皇は、北アフリカから地中海にやって来るそれらの人々に、自らの親近感を示したかったという。
ロンバルディ神父は、エーゲ海で最近になってさらに広がりを見せる難民危機を受けて「教皇は自然と、ご自身のご参与やご憂慮を具体的な形でお示しになりたいとお思いになった」と述べた。
キリスト者の連帯と行動への招きの、エキュメニカルな訪問
ロンバルディ神父は今回の訪問について、ギリシャ最大のキリスト教共同体である正教会の指導者たちが同行することを指摘し、キリスト教会の代表者たちによる「エキュメニカルな行為」であり、「難民や庇護希望者たち、そして移民という大きな課題に対するキリスト者の連帯と接近の」表現だと語った。
今回の訪問は「直接的には政治的ではない」としつつも、ロンバルディ神父は、「極めて重大」であり、本質的に「人道的、道義的で宗教的」であることを認めた。「それぞれの立場や地位に応じて」行動するための「責任と約束への招き」であると同時に、「苦しむ人々への尊敬と支援を示す、より人道的な解決策を求めて行動を起こすようにとの政治家への呼び掛け」でもあると語った。
バチカン放送局日本語版によると、ロンバルディ神父は記者団に対し、今回の訪問は、教皇フランシスコがその教皇職開始時から深い関心を抱いている、世界の最も隅に追いやられている人々や苦しむ人々への深い愛と思いやり、配慮を表すものだと述べた。