ギリシャの国民は何年もの経済危機で疲れ果てており、同国の正教会の最高指導者は欧州連合(EU)に対し、受け入れている難民の数を制限するという決定を考え直すよう嘆願している。世界教会協議会(WCC)が3月31日、公式サイトで伝えた。
アテネおよび全ギリシャの大主教であるヒエロニモス2世は、ヨーロッパが直面している大規模な難民危機に向き合う上で、ギリシャ人が置き去りにされないようにと助けを嘆願している。
ヒエロニモス大主教は、WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師・博士に助けを求める情熱のこもった手紙を書き、世界の教会や国際社会に訴えた。
「実質的な介入がいやおうなしに必要です」と同大主教はこの手紙に記した。「私たちは、まず初めに国境を封鎖するという決定の再検証を通じ、また難民危機の根本原因を除去する実質的な取り組みを通じても、ヨーロッパの連帯の表明が行われるべきだと考えています」
同大主教は、ギリシャ正教会が難民のための支援を続けることを約束する3月30日付の自身の手紙の中で、ギリシャ正教会の聖シノドが「私たちの小さな国に殺到する難民の終わりなき苦難」をたどってきたと述べた。
「戦争から平和に向けた彼らの長く困難な旅の中で、何十万人もの苦しむ難民が、劇的な状況の下で、私たちの国を横切っては、経済危機のために困窮し枯渇していくのです」
同大主教は、内戦を逃れているシリア難民を負担するためのグローバルな責任に関する国連特別大臣会合でこの嘆願を発言した、3月30日の潘基文国連事務総長によるものと、時を同じくしていた。
「この内戦が始まってから5年、シリア人たちは自らの家族を支えたり、あるいは自らの子どもたちを教育するという希望を失いつつあります。近隣諸国で難民を受け入れている社会は疲れ切っています」と潘事務総長は述べた。「保健や教育、そして公益事業への要求が過度になっており、資金が足りていません」
ヒエロニモス大主教がWCCに自らの訴えをしたのは、「制度的な権威や善意、尊敬されている声や社会的影響力を持つ国際社会の人々が、第二次世界大戦後で最大のこの問題とヨーロッパの地における難民の波を解決するために力を合わせてくれるようにするため」だという。
同大主教は、「私たちの海は流れる墓になってしまった。私たちの島々や私たちの民は、絶望的な人々の側に涙ぐましい利他主義をもって立っている」と説明した。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、2018年末までに約480万人の難民を再定住させることを目指しており、これは近隣諸国に現在いる人たちの約10パーセントに当たる。UNHCRは、広まった恐怖や政治的な論争を克服するために闘っていると述べた。
「私たちは再定住や人道的な入国許可を18万5千を超えるまで増やす約束を聞いた」と、国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏はこの会議の終わりに述べた。大臣レベル会合の前に、各国は2013年以来、17万9千を約束していたことが、難民機関の統計値で示されている。増えたのがわずか6千しかないことを示していると、ロイター通信は報じた。
「あなた方に与えられた権威のために、私たちは従って、シリアのより幅広い地域における内戦(「兄弟殺し」)が終わりを迎えるようにするために、ありとあらゆる努力を用いるよう、あなた方に強く求めます」と、同大主教は述べている。
それが必要なのは、「人々や家族がもはや祖国から追い立てられないようにするため、そしてすでに難民として暮らしている人たちが支援を受けてこの苦しみを克服するようにする」ためであるという。
同大主教は、「私たちの小さな国が、何年にもわたる経済危機で疲れ果て、この大きな難民問題に独りで向き合う立場にはない」という点で、ギリシャ政府と見解を同じくしていると語った。