ドイツのカトリック枢機卿は、6日付のパッサウア・ノイエ・プレッセ紙とのインタビュー記事の中で、ヨーロッパに入ってくる難民について、「教会として私たちは難民の数の削減が必要だと述べている」と語った。
ドイツ司教協議会の公式サイトにも掲載されたこの記事で、ラインハルト・マルクス枢機卿は、ドイツは難民に対してその慈しみをどれほど長く差し伸べられるのかと問われ、「ドイツは世界で欠乏のうちにある全ての人々を収容することはできない」などと答えた。
しかしその一方で同枢機卿は、「憐れみに限界はない」とも答え、「ヨーロッパに入ってくる人たちは誰もが尊厳をもって扱われ、公正な裁判を受けなければならない。ヨーロッパの境界線は死の限界であってはならない。何千人とも推計される難民がすでに地中海に入ってきて死んでしまったのは残念だ」と付け加えた。
ドイツではアンゲラ・メルケル首相がシリアやイラクなどからの難民を受け入れる方針を決定したが、反イスラム運動団体「ペギーダ」や右派政党「もう一つのドイツ(AfD)」などが反対しており、世論は賛否両論に分かれ、メルケル首相への批判も高まっている。
一方、カトリックの社会活動・救援活動団体である国際カリタスは4日、シリア難民の子どもたちの精神衛生を守るためにもっと行動を要求するとの記事を公式サイトに掲載。ドイツのカリタスも同国に入ってくる難民を支援する方針を公式サイトで示している。そしてカリタス・ジャパンも、ヨーロッパ難民・移民受け入れ支援のための緊急募金を続けている。詳しくは同団体の公式サイト。
また、同国のプロテスタント教会であるドイツ福音主義教会連盟(EKD)は1月22日、難民の状況に関する声明文を発表し、マタイによる福音書22章37節から39節にある神への愛と隣人愛についてのイエス・キリストの言葉や、「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」(マタイによる福音書7章12節)、「正義が造り出すものは平和であり」(イザヤ書32章17節)などを引用。
EKDはその声明文の中で、「ドイツとヨーロッパにおける状況は疑いなく深刻だ」として、難民受け入れの困難な状況を認め、「難民支援に必要な資源を見つけなければならない」と訴える一方、「しかしながら、それを現実以上に悪いものとして示すことは逆効果だ。国家機関は高い程度の安定性をもたらしている。同じく高いのが、課題に立ち向かい個人的に関わる国民の意志である」としている。
その上で、「ドイツ福音主義教会連盟は、これが将来もその通りであるようにと確実にすべく、力の限りあらゆることを行う」と明言。「関わってくださっている全ての方々に感謝をもって、皆さんが自ら貢献してくださるよう促すものである」と結んでいる。