マレーシア教会協議会(CCM)は、公式サイトで20日付の声明を発表し、全マレーシア・イスラーム党(PAS)の党首であるアブドゥル・ハディ・アワン氏が、キリスト教の宣教師たちに対し、自らの信仰を非倫理的な形で人々に広めていると非難したことは「軽蔑的発言」だとして、これに「深い落胆」を表明した。
マレーシアの複数のメディアが報じたところによると、ハディ・アワン氏は、キリスト教の宣教師たちが同国ボルネオ島のサバ州やサラワク州の人々を改宗させるために、お金を配ったり援助をしていると発言した。
「こんな根拠のない発言をして、キリスト教徒やキリスト教の宣教師たちを中傷するとは、彼のような立場にいるイスラム教徒の指導者らしくない」と、CCM総幹事のハーマン・シャストリ牧師・博士が署名したこの声明には記されている。
「ハディ・アワン氏は、自らがキリスト教徒たちの行いだとして非難しているまさにそのことが、イスラム教の組織や機関が私たちの国の内外でやっているのとまさに同じことだということを無視しているようだ」とシャストリ博士は記し、「この国におけるイスラム教の宣教活動、とりわけサバやサラワクの先住民族を対象にして人々をありとあらゆる誘因でイスラム教へと獲得していることについては、多くの文書による報告がある」と指摘した。
「キリスト教徒に対して根拠のない非難をする代わりに、ハディ・アワン氏は、なぜ多くのイスラム教徒の青年たちが過激化して過激派組織『イスラム国』(IS)に惹(ひ)き付けられるのか、そして自らの宗教がこの増大しつつある問題にどう対処するのかについて焦点を当てたほうが、自らの時間をより良く使えるだろう」と、シャストリ博士は“助言”した。
「彼のようなイスラム教徒の指導者は、自らの宗教の中でこれらの問題に集中すべきであり、他の宗教を批判すべきではない」と、シャストリ博士はこの声明を結んだ。
なお、マレーシア政府が2010年に行った調査の報告によると、同国民の61・3パーセントはイスラム教徒で、仏教徒が19・8パーセント、キリスト教徒が9・2パーセント、ヒンズー教徒が6・3パーセントとなっている。
一方、マレーシア福音同盟(NECF)が同国統計省による2006年の数値として示したところによると、サバ州ではイスラム教徒が63・7パーセント、キリスト教徒が27・8パーセントなどとなっている。また、NECFが同省による2000年の統計として示したところでは、サラワク州ではキリスト教徒が42・6パーセント、イスラム教徒が31・3パーセントなどとなっている。