マレーシア教会協議会(CCM)は8日、首都クアラルンプール南西に隣接するタマンメダンで4月に教会の外側に取り付けられた十字架に約50人の住民が抗議したために教会が十字架を取り外した事件について、同国政府が住民を不起訴処分としたことに「落胆」を表明した。CCMが同日付の声明で発表した。
「CCMは2015年4月のタマンメダンの教会における抗議者たちにこれ以上何も措置が取られることがないことに落胆を表明したい。この抗議者たちは2015年4月19日にこの教会の建物の外に集まっては、その教会が占めているその建物に取り付けられていた十字架を降ろすようにと要求していた」と、同声明は述べた。
「この声明は抗議者たちが告発されることなく釈放されたことに関するものだ」と、CCMのハーマン・シャストリ総幹事は本紙にメールで説明した。
同国のダトゥック・セリ・アーマド・ザヒド・ハミディ副首相は2日、これらの抗議者たちを起訴することはないと述べた。マレーシアの英字紙「マレーシアン・インサイダー」(電子版)が同日に伝えた。
「CCMは抗議者たちの行為を教会員たちの礼拝の自由に対する干渉であると見なしている」とシャストリ総幹事が署名したこの声明は述べている。「全ての宗教が持つ礼拝の自由が当局によって常に守られること、そしてこの憲法上の権利に対するいかなる干渉も真剣に受け止めることが重要だ」
その上で同声明は、「当局がこの事件は閉じるのがふさわしいと考えたことを、CCMは残念に思う」と結んでいる。
ただ、抗議を受けたこの教会(コミュニティー・オブ・プレイズ・ペタリン・ジャヤ教会)のポール・パキアナタン主任牧師は4月のこの事件の後、抗議をした人たちを赦(ゆる)すと述べたと、マレーシアのメディアによって報じられている。
なお、マレーシアのキリスト教人口は、2010年に政府が行った調査では9.2%で、イスラム教徒(61.3%)や仏教徒(19.8%)に次いで3番目に多い。