南インド教会(CSI)マドラス教区の「元気に満ちた」クリスマスの祝祭は、議長が洪水の被災者救援に焦点を絞るよう呼び掛けたことで中止となった。しかし、パキスタン教会ペシャワール教区では、治安状況の改善でクリスマスのにぎわいが2年ぶりに復活するという。アングリカン・コミュニオン・ニュース・サービス(ACNS)が17日に報じた。
インド
チェンナイ(旧称マドラス)とその近隣の地区は、豪雨と湖の氾濫によって壊滅的な被害を受けた。「とても多くの命が失われ、多くの人々が暮らしや全財産を失ってしまったのは悲しい」と、CSIの議長でマドラス主教のゴバダ・ディバシルバダム氏は語った。「この都市や近隣地区の多くの人たちにとって、将来は暗い。とりわけ貧しく都市の貧民街やチェンナイ周辺の村々に住んでいた人たちがそうだ」
同議長は同教会全体の諸教区が救援活動のために行った膨大な対応を歓迎するとともに、聖職者や信徒職員、教会職員に対し、1日分の給料を救援基金のために寄付するよう求めた。
また同議長は、クリスマスの元気に満ちた祝祭は、今楽しみなものが何もない人たちに「悪影響を及ぼし」かねないと諭した。
「クリスマスは、貧しい人たちや周縁化された人たち、虐げられた人たちに大きな喜びをもたらす季節。何も楽しみなものがないのにお祝いをすることによって、大多数の兄弟姉妹たちに悪影響を与えるいかなる祝祭も、控えるのが適切だ」と、ディバシルバダム博士は語った。
「元気に満ちた祝祭を全て中止にし、被災者たちや私たちの近所にいる恵まれない人たちの間で、命を肯定する活動に焦点を当てるのが適切だというのは、賛同していただけるだろう」
同博士は、祝歌による礼拝や似たような催し物は中止して、代わりに教会が「被災者たち、また最も助けを必要としている人たちに対する適切な救援・復興対策を通じて、キリストの愛を行動で示す」ことを提案した。
英クリスチャントゥデイ紙は10日、インドのタミルナードゥ州やチェンナイにあるカトリック教会も、クリスマスの祝祭を中止して洪水の被災者に奉仕すると伝えた。
同紙によると、チェンナイのカトリック教会は全国の教会に同じようにするよう呼び掛けたという。インド・カトリック司教協議会会長のバセリオス・クレーミス枢機卿は、洪水の悲劇に対応して連帯を呼び掛けた。
「今この時に私たちに必要なのは、洪水で被災して苦しんでいる家族や地域社会との連帯を表し、救援と復興のために少額でも寄付をすることです」と、同枢機卿は述べた。
パキスタン
「過去2、3年間に、パキスタン、中でもペシャワールのキリスト教共同体は、クリスマスをとても質素な形で祝わなければならなかった」と、パキスタン教会ペシャワール教区のニュースレター「フロンティア」は報じている。「(この)背景にある理由は、この国が全国的な災害や自然災害に直面しなければならなかったり、あるいは(テロリズムによって)キリスト教共同体が犠牲になったりしたことだ」
「昨年は12月16日に、テロリストたちがペシャワールの陸軍公立学校での襲撃で135人を超える子どもたちを虐殺した。同じように、2013年には、全聖徒教会の大虐殺、そして(パキスタン北部パンジャブ地方にある)ラホールのヤホウナバード教会に対する襲撃、それに続く他の多くの大小のテロ事件が、伝統的なクリスマスの祝祭に影を投げかけた」
「神に感謝! Zerb-e-Azabと呼ばれる(パキスタン軍の)対テロ作戦のおかげで、治安状況は改善し、この国の市民はとても安心している。(パキスタンの)キリスト教共同体は再び、伝統的な華やかさや劇で今年のクリスマスを祝う予定だ」
バチカン放送局は16日、パキスタンがタリバンによる学校襲撃1周年を迎えたことを報じ、その襲撃の犠牲者は150人を超え、うち144人は学校の児童だったと伝えた。
その中で同放送局は、カトリック教会のイスラマバード・ラワルピンディ司教のラフィン・アンソニー氏の言葉として、とりわけクリスマスに向けた季節の中で、カトリック教会は平和を説いていると伝えた。