米テキサス州は今月初め、8ドル(約960円)を奪うためにキリスト教宣教師を殺害したとして死刑判決を受けていたジュアン・ガルシア死刑囚(35)の刑を執行した。ガルシア死刑囚は1998年、同州ヒューストンでキリスト教宣教師のヒューゴ・ソラーナさんに対し強盗を働いた上、銃で殺害した。ソラーナさんは事件の数週間前、子どもたちに米国で教育を受けさせるため、家族と共にメキシコのグアダラハラから移住したばかりだった。
薬物注射によるガルシア死刑囚の刑執行には、ソラーナさんの妻アナさんと娘が立ち会った。その後アナさんは、死刑が執行されないことを願っていたこと、またガルシア死刑囚の謝罪が「心からのもの」だったため受け入れたことを話した。「神のなさることです。イエスのなさることです」とアナさんは語り、罪を犯した人々にはその間違いから学ぶ機会が与えられるべきだと述べた。
ガルシア死刑囚の死刑執行は、米連邦最高裁判所が1976年にほとんどの州で死刑を復活させて以来、テキサス州で529番目の執行となった。
ガルシア死刑囚は声明の中で、ソラーナさんの遺族らからの赦(ゆる)しを求めた。「私が生きていれば、私は皆さんに苦しみを与えてしまいます。私があなたのお父さん、またご主人にした害について、このこと(死刑)が皆さんに対し(苦しみの)終わりをもたらすことを願います。私は決して、皆さんの誰をも傷つけたくはなかったのです」と、刑務所の職員はガルシア死刑囚が遺した言葉を語った。
今月、同州恩赦仮釈放委員会は、死刑執行を予定通り進めるよう勧告した。一方、ガルシア死刑囚の3人の共犯は、誰も死刑に処せられなかった。
死刑執行の数日前、ガルシア死刑囚はヒューストン・クロニクル紙に対し、「ソラーナさんを殺すつもりは決してなかったのです」と語った。そして、死刑に値するという判断の決め手となった8ドルも奪っていないと述べた。
検察は、ガルシア死刑囚が金銭を盗んだと主張していたが、ヒューストン・クロニクル紙は、ガルシア死刑囚が「私は決して、このような結果を意図したわけではありません。殺すつもりはなかったのです。殺す理由などないのです」と述べたと報じていた。