九州電力は、15日午前10時半に川内原子力発電所2号機の原子炉から制御棒を引き抜き、原子炉を起動させたと発表した。これに対し、「川内原発の安全を考える市民の会」代表で日本基督教団串木野教会(鹿児島県いちき串木野市)の藤田房二牧師は同日、本紙の電話取材に対し、「もう残念の一言に尽きます。しかし、これで反対をやめてしまったらどうしようもないから、やっぱり継続していかなければと思っている」と語った。
藤田牧師は、「既成事実でいろいろな問題を残したまま。避難計画が不備であったり、ヨウ素剤の配布も問題だし、だいたいどこに責任があるのか全く分からない。(原子力)規制委員会は『安全は保障しません』と言っているわけだし」と問題点を指摘した。その上で、「もうこのままどんどん押し流されていってしまう。後は、事故が起こって初めてみんなが目覚めるんじゃないでしょうか。だから、再稼働は無茶です」と厳しい口調で話し、「国も市も経済優先ですから。串木野も13億もらって。こっちは避難道路の橋の架け替えをするわけですけど」と付け加えた。
一方、衆議院第二議員会館(東京都千代田区)前では、同日正午から約1時間にわたり、川内原発の再稼働に反対して約60人がデモを行った。その中で、キリスト者平和ネット事務局の渡辺たか子さんが発言し、原発について「安倍政治の、富国強兵の『富国』の部分を負っている」と指摘した。
カトリック信徒でもある渡辺さんは、9月に第39回日本カトリック「正義と平和」全国集会2015東京大会に参加した韓国カトリック教会脱原発日本訪問団に触れ、「韓国から20人が見えて、韓国での様子を訴えました。韓国の方も熱心に、シスター方も座り込みをしてやっているそうです」と述べ、「ぜひ(原発を)止めようというのを広げて、海外にも目を向けてやっていくのも大事ではないか」と語った。さらに、「原発を輸出することになったら、私たちは被害者だけじゃなく、加害者の立場にもなる。そういった世界との関係も、私たちは見てやっていかなければいけないし、政治を変えていかなければいけない」と結んだ。
同原発の1号機については、日本カトリック正義と平和協議会・平和のための脱核部会が再稼動に強く抗議し、停止を求める声明文を安倍晋三首相、田中俊一原子力規制委員会委員長、瓜生道明九州電力代表取締役社長宛てに8月12日付で送付している。一方、カトリック信者で麻生太郎副総理兼財務相の弟でもある九州経済連合会会長の麻生泰(ゆたか)氏(麻生セメント社長、福岡雙葉=ふたば=学園理事長)は、1号機の再稼働を歓迎するコメントを出している。
日本聖公会も8月14日付で「川内原子力発電所再稼働に対する抗議声明」を発表している。